1%の光

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 建部聡志
解説 岡本真夜さんの9thアルバム『再会〜君に綴る〜』収録曲の6番手。男の立場で歌われ、恋愛より職業的に打ちひしがれた絶望の淵から立ち直らんとしている歌詞の流れになっているが、現況の強調のためとはいえ、甘えや他力本願的な歌詞が見られるのが大きな特徴。
 背景を見ると、「世渡り上手」「次の場所」「築いたもの」「いい肩書き」と言った歌詞が前述した様に主人公が苦境にいる場が恋愛的なものより職場的なものである事を表している。
 触りだけで見ると「嘘ついてまで 夢見たくなかった」「"笑っておけば すむこと"が 僕にはちょっと難しかったんだ」やと言った歌詞から主人公が自分の意地や理想を殺す事でその場には残れたものを「自分をごまかしてまでいたくない」という信念や「初めての辛さじゃない 何度も乗り越えてきたんだ」という過去を踏まえた上で「築いたもの」「いい肩書き」を捨てる方を選んだ主人公の選択が人間としてみるか、ビジネスマンとして見るかでなかなかその是非が難しい所である。
 勿論その様な是非は他人が下すものではないが、ダンエモン個人としては「今日も神は味方してくれない 明日こそは味方してくれるかな」の歌詞が些か気に食わない。勿論「心100としたなら99が不安さ」との対句としての意味を無視するわけではないが、多くの大切な物を捨てて一大決断した男にそんな他力本願的な言葉を口にして欲しくないと考える。
 だが、この一見弱気に映る歌詞はその前後と供に大局的に見なくてはならない。「僕」にとって大切なのは「この夢」「願う"幸せの場所"」である。勿論これらは能書き垂れてるだけや与えられた立場や過去の栄光に縛られていて実現できるものでなく、0やマイナスからのスタートであるなら尚の事、「次の場所 見つからず 時間だけが過ぎる」「心100としたなら99が不安さ」といった厳しい現実を認識する事もまた大切である。主人公は何故に願い、そのために何を見なければならないかを訴えているのである。
 人間には出来るかどうか分からなくても挑まなければならない時、そして出来ない可能性の方が圧倒的に大きい時でも挑まなければならない時もある。それが何故なのかは本来、自分自身が一番わかっていることの筈である。それを認識していれば「くじけそうでも1%の光 あきらめず見つけるのさ」の歌詞に夢への戦意を得る事も出きるだろうし、「1%」より小さな「光」にも結城を持つ事が出来るであろうことをダンエモンは改めて信じる。


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