GLORIA

GLORIA

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし


解説 6枚目のシングル「あなただけ見つめてる」のカップリング曲で三角関係と女同士の友情の板挟みを歌っているという、なかなか凝ったシチュエーションの曲である。同様に女同士の友情を歌ったものに「ふたりが好きだから」がある(チョットニュアンスは異なるが)

 歌詞が語るところを見るに、主人公と、女友達であるGLORIA(実在の人物だったら凄いよな…)は学生時代を通じて現在に至るまでの親友のようである。そして主人公の想い人とGLORIAは恋仲にあり、それを知って、彼が我が物にならずに苦しみつつも友の幸福を祝福・激励し、いつか嫉妬を昇華して元の親友に戻れることを切望する内容になっている。

 惚れた相手が他人のものになる苦しみは(経験上)よく分かるが、その相手が親友となるとどんな気持ちになるだろうか?一種の拷問だとダンエモンは考える。親友である以上主人公とGLORIAは人格や趣味においても似たところがあるのだろう、更に同じ人を好きになっている訳だから、GLORIAがいなければ主人公が彼と付き合っている可能性は高く、その可能性故に主人公は苦しむだろう。
 GLORIAに対して「可愛さ余って憎さ百倍」になる可能性だってある。それを旧交を捨てることなく、「寂しかったのは私だけ知らなかったこと 許せないのは彼と魅力がなかった自分自身」と歌い、あくまでGLORIAを責めないのは二人の友情の固さを如実に語っている。

 が、だからと云って悔しさや悲しさがない訳では勿論ない。「GLORIA 許せないわ」「もうこれ以上 惨めにしないで」「今は会えないけれど」といった歌詞にはGLORIAに対して親友と云うより恋敵としての立場で見ていることがうかがえる。それでも友情を忘れず、彼女を祝福する気持ちまで持とうとする姿は美しくすらある。
 横恋慕野郎のダンエモンとしては耳の痛い話である。同じ立場に立った時にダンエモンが友を祝福できるか甚だ疑問である、祝福するのが正当であることを理解しているのにである。

 人間は様々なことで対立する。利害・心情・良心・信教・感情・etc…と。厄介なのは双方に正論がある場合で、理屈で片付かない問題も多い。だが誰かと止む得ず対立するときでも相手の正当性を尊重し、必要以上に怒ることのないよう、まして憎むことのないようにしたいものである。そんなときにこの「GLORIA」の主人公の心は我々の教えとはならないだろうか?

摩季の間へ戻る

令和四(2022)年六月三日 最終更新