作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし
解説 シングル5枚目の曲で、アルバムでは『U.Be Love』の6曲目に収録されている。「別れましょう私から消えましょうあなたから」と「あなただけ見つめてる」に挟まれているせいか些かその影は薄い(摩季ソング全体における存在感は大きい方だが)。
この曲の語るところは「見栄を張らず、無理をせず、素のままの自分でいてもいいじゃない。」と表現してみたい。
この歌で主人公が語るまでもなく、我々人間はなかなか本音のみでは生きられない。見栄、世間体、社会的常識、羞恥心、流行、etcを少なからず心に引き摺り、建前人間を演じてしまう。勿論それがいけないこととは云わない。社会に生きていく上において、人と人との調和を図るのにおいて、前面に押し出しては行けないものや、幾ら本音で好んでいてもやっては行けないことはごまんとある。
が、しかし自分の心に自然に持っている本音まで見ない振りをして演じていくだけの生き方に幸せがないのも確かだ(幸せそうには振舞えるだろうが)。建前と云う名のプログラムで動かされるロボットではないのだから、人間は。
この歌にも、人間の本音や素直な心の比喩として「裸」という単語が出てくる。しかも三箇所も。
「裸になればいい」、「裸に自信をもって」、「生まれた時には みんな裸だったのに」がそうである。
そして建前や取り繕う姿を「生きてくワビサビで 着込んだしがらみ」と表現している。勿論本音だけで生きていくことが容易なら初めから皆そうしているだろう。
本音で生きれば新たないざこざを生み、建前で得て来た物を失うことを充分考えられる、つまり真の意味で本音で生きる事の尊さを、それまでの上辺の幸せを全部かなぐり捨てられる覚悟がないと出来ないのが現実である。その為にどうあるべきか?
勿論明確な答は歌中にはない(簡単に歌われるぐらいなら誰も苦労しない)。が、ヒントはある「胸キュンすること 楽しく生きること 素直な自分次第 他力本願じゃやって来ない」である。
解説文を綴っていて、なるほど、その様に建前をかなぐり捨てて本音で生きることが出来たときこそ、世の中のつまらない流れに惑わされない自分が形成され、自分のいるべきところが「Harlem」ならぬ「harem」になるのだと云うことがわかった(少々どころかかなり語弊のある英単語駄洒落だが)。
摩季ネェファンになって24年(2022年6月現在)になるが、摩季ソングを何度も聴き、自分なりの考察を深める余地はまだまだ多いものだと思い知る今日この頃であった。
最後に一つ、恥を白状しておくと、ダンエモンはタイトルの「Harlem」=「ニューヨーク・シティはマンハッタン島北東部の黒人居住地域」を「Harem」=大奥・後宮と長年勘違いしていた(苦笑)。
BBSでファンの方からの指摘を受けて初めて悟るとは情けない限りである……。
令和四(2022)年六月三日現在 最終更新