Just Start Again

Just Start Again

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし


解説 19枚目のシングル「太陽の国へ行こうよすぐに~空飛ぶ夢に乗って~」のC/W曲である。
 ダンエモンはシングルCDにおいてA面以上にC/W曲を愛好する傾向がある。それ自体はただの偶然だが、そんなC/W曲の名曲達がTVやライブで殆ど名前が出てこないのは非常に惜しいものがある。この「Just Start Again」もそんな曲の一つである。
 「そうだ 帰ろう懐かしいHome Town やるだけやったなら疲れた羽休めて」という歌詞について思うのに、『北斗の拳』という漫画にあった「人はいつの日か故郷を目指すもの。」という台詞がある。
 老いた両親に対する孝養や先祖の供養等、故郷にあって果たすべき義務を果たさずに、ろくでなしの生活を送っていたダンエモンだったが、長年地元への帰還を考えなかったのには、関東にいたい理由もあったが、「Home Town」に帰るにはダンエモンは「やるだけやった」とは全く云えなかったからであった。
 そしてそれは、「帰ろう」と云い、「荷を下ろしなさい」と云いつつも、「見つけなさい そして行きなさい」と続けていることからも、この歌の語る帰郷が、負けて泣いて帰るような帰郷と一緒にしてはいけないと教えてくれる。

 「いつまでも変わらない 夢 潤す瞬間よ 新しい風の中 翔びたつよ I Start Again」と歌われているように、敗れても疲れても「いつまでも変わらない夢 潤す」心を忘れては本末転倒と云える。新たなるスタートを切るときも夢に挑んできた過去があり、それを礎に今のスタートがあることを認識することの大切さをこの歌詞は教えてくれる。
 そして何よりダンエモンが好む摩季ソングの中でも屈指と思っている歌詞が「人は皆 迷いながら 道を見つけて行く 私にしか出来ない行き方があるはずだから」である。愚かで、弱くて、何の取り柄もないダンエモンが自分を見失わず自分らしく生きていくのに、自分がこの世に生まれてきた意義を見据え日々を戦っていく心の糧とすることにおいて、この歌詞に匹敵出来るのは「Lovin'You」「いまは全てが惨めな暗闇だったとしても それがプロセスなら無駄な努力なんて何一つない」ぐらいである。
 この曲の最大の魅力は歌詞に「Start」が含まれる様に、何度敗れても、どんなに打ちのめされても立上がり、挑む勇気を与えてくれることにある。そしてその魅力こそが摩季ソングの根幹かもしれない。

摩季の間へ戻る

令和五(2023)年七月一九日 最終更新