LOVIN'YOU

        作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし
解説 真打の登場である。この曲こそが私を摩季ファンたらしめた一曲であり、最も好きな曲であり、常々自分自身の奮起の材料とする曲である。
 アルバム『LA、LA、LA』に収録されている曲で、このCDを買うか、借りるかしないと余り街中で耳にすることはない。
 歌詞内容はシンプルである。摩季の曲に在りがちな、平凡な日常の中、夢も希望も虚空に消えそうな日々を打破せんとする内容になっている。男の立場で歌われていて、日々生きていくことに無力さに打ちひしがれている男が、そんな中で愛する人、親し友の思いを支えに頑張っていく姿が、「I LOVE YOU」「I NEED YOU」「I WANT YOU」の平凡かつ在り来たりの三英文を交えて歌われている。この「LOVE、NEED、WANT」を並べた歌詞がThe Beatlesの『Michael』にも使われているのは有名である。
 まとめてしまえばこれまでだが、この曲はダンエモンが特に贔屓にしている曲なので、もう少し掘り下げて解説したい。
 この曲の歌詞は青年の主張とも取れるが、歌詞の内容には時の流れも感じられる。夢を持たないまま学業を終え、そのままの姿勢で就職した男性が夢を抱けないでいる、日々努力をしないわけではないが、これといった成果も見出せない。傷付くぐらいなら期待をしないほうがいいかもしれない。
 しかし男性には大切な人々がいるだからこそ夢を抱かずにいられない、夢の実現に挑まずにいられないという歌詞が希望を与えてくれる。そして、終盤の一節が私に今尚衝撃を与えてくれる。それが、「『I'LL GO MY WAY…。』それがプロセスなら  無駄な努力なんて何一つない」とう一節である。 初めてこの歌詞を耳にした私は一人暮しの部屋の中で「ううおおおおおおぉぉぉぉっっっ!!!」とオタケビを挙げた。はっきり言って感動した。
 幼き日から、学業、スポーツ、就職、恋愛等々、様々な事で挫折を味わい、諦めを余儀なくされること数え切れず、「努力」という言葉を捨てない一方で空しさを感じつつあった私にとって、「それがプロセスなら無駄な努力なんて何一つない。」という歌詞は強烈な希望と前向きな姿勢を与えてくれた。
 ダンエモンはこれからも失敗を重ねるだろう。挫折を感じることも少なくはあるまい。尽力したことが実を結ばないこともあるだろう。しかし、この曲を知った御蔭で、努力したことが望んだ成果をもたらさずとも、別の局面でその努力が生きてくることを信じて頑張れることが出来ると信じている。それだけでもこの曲と大黒摩季に対する感謝の念は尽きない。
 1999年8月5日、千葉マリーンスタジアムでのライブで、この曲のイントロが流れたとき、三万人の観衆のざわめきの中、ダンエモンは、「出た―っっ!!こいつだけは聞きたかったぜぇーっっ!!!」と絶叫した。その絶叫は歓声の中に掻き消されたが、周囲の十数人はひいたと思う。だが、私に後悔や恥じらいはない。私の中の摩季に対する最も素直な面が露出した一瞬なのである。次にライブでこの曲が流れても絶叫はしないと思うが、是非に何度でも聞きたい曲である。
 ダンエモンは熱し易く冷めにくい自分の性格をよく知っている。それゆえ、極力趣味を増やさないようにしている。余程好きな歌手以外のCDを殆ど買わないのもそのためである。その私が摩季のファンになったきっかけは「熱くなれ」「ら・ら・ら」であるが、決定付けたのはこの「LOVIN' YOU」である。

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