作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし
解説 16番目のシングル「ゲンキダシテ」のC/W曲である。摩季ソングに数多い片想いの歌である。
片想いにも様々なパターンがある。意中を告白して相手にされない場合と、告白すら出来ない場合に大別されるが、この歌詞は告白出来ない状態にある。
告白が出来ないのも彼氏の存在に影響される場合があり、この歌の主人公は他の女と熱々状態にある想い人に対して告白出来ずにいる。題名通り、「You」は彼女のものー主人公の立場から見た「mine」ではないのである。嘆きはよくわかる(泣笑)。
さて、この歌の歌詞に描かれているのは告白したくて出来ない、それでも好きな気持ちを捨て切れない主人公がどうあるかである。
それを最も美しく歌い上げている歌詞が、「光 浴びながら そよぐ花のように 美しすぎて そして触れられなくて こんなに近くにいるのに」ではないだろうか?それはちゃんとした恋人がいる人物にとって別の異性に想いを寄せられるのは心情はともかく立場的に非常に迷惑なものがあるからだ(何とも思わず喜ぶ奴もいるが、そういう奴から得れる愛はそれこそ自分のものではない)。
となると諦めるか、玉砕覚悟でぶつかるか、影から見守るかになるが、この歌の主人公も採っている「影から見守る」のが実は一番辛いのではないだろうか?
玉砕すればそのときはとてつもなく辛くても、その後の身の振り方をすぐに考えられる。諦められたら一番安全で一番苦労が要らないし、他者を傷付けずに済む。しかし、影で見守ることは終わりが見えない。更に相手に断じて気付かれるわけにはいかないのだ。
気付かれれば玉砕か退却かの二者択一となり、二度とそれ以前の状態には戻れないからである。物理的な距離が近ければ、余計に辛いものがあるだろう。食欲に例えて云えば空腹状態で木に縛り付けられて焼肉を焼く匂いを嗅がされるようなものである(例えになっているのかなあ?)
歌詞全体からうかがうに、主人公と想い人はそこそこ仲がいい様である。その気になれば告白するタイミングぐらい幾らでもあるのだろう。しかし恐らくは距離近きがゆえにその本心が読めてしまい、勝負に出るのを思い止まらざるを得ない状況に追いこまれているのだろう。
歌詞の締めの所々に繰り返し出てくる「You are not mine」はまさしくこの歌のタイトルであり、心の叫びであることが感じられ、軽いテンポとリズムの中にあって聴覚を通り越して心にその淋しさが染み込んでくるものである。現実の恋愛ではこの心に染み込む様をポジティブな気持ちで味わいたいものである。
令和四(2022)年六月六日 最終更新