Against

作詞 麻生圭子 作曲 大内義昭 編曲 岩崎はじめ
解説 椎名恵さんの1990年の全国ツアーライブを収録したライブアルバム『AUTUMN Volage1990Megumi Shiina』の2枚目のトリである11枚目に収録を道場主は所持している。つまりはライブでもトリで歌われたわけで、他のアルバムでは同じ2枚組アルバムである『COLLECTION』に収録されているのを知っているが、道場主は未入手。
 タイトルの「Against」は英和辞典によると「…に対して; …に反対して; …と対照して; …に不利(益)に; …を背景にして; …と引き換えに; …に寄りかかって; …に備えて」を意味する前置詞だが、この歌においては少し異なるニュアンスを持つ気がする。
 つまり「again」=「もう一度」を「実践する者」=「ist」を繋げた造語っぽくダンエモンは受け止めている。勿論これは道場主の深読みである(苦笑)。
 歌詞の流れは主人公がそれまで生きてきた時の流れを、「過去は歴史」として重視する「あなた」との出逢いを静かに喜び、その幸せを噛み締め、心の素直な部分に浸透させていこうとする様が綴られている。
 特に「若い時はみな 自分しか見えないね 今だからあなたの持つ 強さ判るのよ」の歌詞は主人公と「あなた」が出会って一足飛びに恋に落ちたわけでなく、時と吟味が重ねられて来た背景と、強がりでない強さを持つ面が見事に集約されている。
 また「We're one tonight」は直訳した和文を隠語的に捉えるとイヤらしい想像をしてしまうのだが(苦笑)、直後に「We're one forever」とあることでその意味合いは真剣かつ、非常に重いものとなる。
 恋愛は勿論時の長さや距離の近さや体が触れた頻度で単純に図れる者ではない。濃密さや重みや心の持ち様の方が大事なのは間違いないが、それらを時の中で実感してきた末の「one」であるからこそ、ラストの「心の鍵を そっと外して Again」となる様が秀逸である。
 恐らく主人公はそれまでの人生や恋愛において「again」を何度も繰り返してきたのだろう。人が生きている以上「again」とはまず無縁ではいられない。些か矛盾することを述べる様だが、少なくとも恋愛においてはこの主人公にとってのラスト「again」になって欲しいと思われるものである。
 勿論、互いを深く知り、愛を深める為の「again」は何度でも行って欲しいものであるのは言うまでもない。
 

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