作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし
解説 フジテレビ系ドラマ「妊娠ですよ2」の主題歌として使われたこの曲は12枚目のシングル曲である。アルバムでは『BACK BEATs#1』の13番目に収録されている。シングル曲でありながら、ベスト版以外のアルバムに収録されていないのはいささか驚きである。ま、タイミングの問題なのだが。ドラマについてはダンエモンは全く知らないのでここでは触れない。
歌詞全体の流れとして注目されるべきは、主人公の素直になろうとする姿勢だろう。云い換えれば八方美人から、意中の人一筋への方向転換の決意表明とも取れる歌である。歌詞を抜粋してみると、「明るく広く浅く 当たり障りは少なく 強いものに厳しく 弱いものには優しく」と生きてきたものを最後には「あなたのためだけに生きて行けたなら どんなにステキだろう For you」としている。ノリの軽い歌詞の中に通された決意の固さが静かな魅力を醸し出している。
その陰で歌詞の要所要所に滲み出ているのが、変わろうとしている自分を認めてもらえないもどかしさである。「だからいつも 目が合っても なぜか笑われてしまう 真剣な話しになっても またまたぁー なんて ジョークにされるけど」、「今は何を言っても 嘘に聞こえるけど どうか信じて」といった歌詞にその気持ちが現れている。この歌詞に限らず、人間誰しもそれまでのイメージでしか見てもらえないことに苦しむことはあるだろう。チョット的確な例えではないが、前科者やヤクザや不良学生がそれまでの愚行を深く反省し、更正しようとしても、周囲がそれまでその人達を見てきた目と同じ目で見て、その変化はおろか心根まで認めない、といった例に通じないだろうか？
歌詞としてもう一つ見ておきたいのが、「もっともっと そばにいれば嫌いになれたかもしれない」という歌詞で、「チョット」にも同じような歌詞がある。ただ、この二曲では背景が全然違う。この「愛してます」で嫌いになろうとすることを考えているのは後ろ向きな姿勢である。心のどこかにある、夢よりも楽を選びたい気持ちが少し浮上した箇所と見ると興味深い。
歌詞から離れてしまうが、ダンエモンはこの「愛してます」のシングルのジャケットの摩季ネェの写真が大好きである！
初期のCDにおける摩季ネェのフォトは無表情だったり、正面から撮られないことが多い中で、真正面から真顔の中にほんのり浮かべた笑みの表情は数々の摩季画像の中でも屈指である！この歌の八方から視野を「あなた」一人に定め、真っ直ぐに進む気持ちを比喩している、と見るのは自分でもいささかこじ付けじみた見方だとは思うが、そう考えたくなる魅力が歌と像にある。
摩季の間へ戻る 令和四(2022)年六月三日 最終更新