愛してたんだ

         作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし
解説 アルバム『POWER OF DREAMS』6番目の収録曲である。「切ない」の一言である。失恋・別れの歌は摩季ソングに数々あれど、過程はどうあれ、失恋を忘れようと理屈で考えて、思い出すから考えるのを止めて、それでも考えてしまうもどかしさが、正しくタイトル通り、「愛してたんだ」という気持ちを声にならない声で叫んでいる様で切ないが、素直な気持ちに根ざしたその歌詞は決して聴いていて心苦しいものではなく、むしろ素直な心の持つ人間の根本となる純粋さが漂う。大好きである!
 「Summer Breeze」とは違った意味で「あなたがいればそれだけでよかった」の続編として夢想しつつ聴いてみるのも一興と思う。
 悪く言えば女々しいとも言えるか詞だが(摩季は女ですけどね・・・)、一人で見る花火や、近付く足音にありもしない彼の影を求める心が、「未練」よりも「愛」を感じさせる。そして極め付けが「もう戻らない 言い聞かせても 素直な涙が溢れてくるだけ」という歌詞である。
 ダンエモンにも失恋の経験はある(と言うか成功したためしがない・・・)。未練は早く断ち切りたいが、簡単に消える未練では自分が抱いた愛を薄っぺらいものと定義付けてしまうのでは?という心苦しさはよくわかるつもりである。
 結局の所、愛があるのかどうか?まだ惚れているのかどうか?は実は自分自身が一番理解していることでありながら、なかなか白黒を認めづらいものである。この歌ではまだ愛している自分を認めることで自分に素直になるのだが、その素直さが素晴らしいと同時に、それに伴う苦悩が切ない。
 結論、一筋縄ではいかない素直で切なくて素晴らしい曲である。

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