逢いたいよ darling

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 西垣哲二&岡本真夜

解説 岡本真夜さんの10thアルバム『Close To You』の10曲目に収録。世に想い人と会いたい、側にいたい気持ちを歌った曲は数多くあれど、瞬間にこれほどこだわった曲は珍しい。実はチョットだけ珍しくないのだが(詳細後述)。

 タイトルでもあり、歌詞にてくどいぐらいに繰り返される「逢いたいよdarling」の台詞だが、歌詞の内容から主人公と想い人である「あなた」「部屋」を共にする中であることは明白だから、「逢いたいよ」は漢字表記では「会いたいよ」が適切なのだが、主人公の想いを丹念に鑑みれば、「逢いたいよ」の方が正しいことを納得させられる。

 事の発端は「つまらないケンカ」で、望む結末は「あなた」の誕生日に祝福のために駆け付けることで修復することと見受けられる。「部屋を飛び出した」主人公がどんな行動を取って、どれほどの距離と時間をおいてしまったのかは詳らかではないが、「あなた」「Happy Birthday」を供にいられなくしたことに対する主人公の悔恨と、それ日の内に取り戻さんとする執念は半端じゃない。
 推測するに、「こんなに大切な日」だからこそ、「素直」に戻って、「心の中でちゃんと想ってた」ことを伝え、縁りを戻す為に「あなた」の誕生日を逃す訳にはいかないのだろう。それゆえに日付が変わる前=「時計の針が12時を回る前」に主人公は物凄くこだわっているのだろう。
 そしてこのこだわりの中で「会いたい」と思っている「あなた」は、同一人物でありながらその時にしか会うことの出来ない「あなた」だから「巡りあい」の意として当てられる「逢いたいよ」の漢字表記の方が相応しくなるのだろう。音では決して表現し切れない所に込められた想いとこだわりが秀逸である。



 さて、ここからは「真夜の間」のダンエモンとしてでは決して語れない、「楽曲房」のダンエモンだから語れる話をさせて頂きたい。
 冒頭で、思い人に会いたい気持ちに関して、「瞬間にこれほどこだわった曲は珍しい。実はチョットだけ珍しくないのだが。」という訳の分からない表記をしたが、実は真夜さんだけではなく、偶然にもダンエモンが楽曲房にて敬愛し、応援している女性アーティストは全員が同様のこだわりを歌にしている
 まあ、全員と言っても真夜さんの他には大黒摩季さんと椎名恵さんの二人だけなのだが、摩季さんはクリスマス、椎名さんは真夜さんの同様に誕生日(正確にはその前日)に追いかけるように想い人の元に駆け付ける意の歌詞を歌にしている(参考までに摩季ソングは「BLUE CHRISTMAS」、椎名ソングは「一日前のBirthday」)。
 いずれの歌も主人公と想い人はその時点では側にいなくても、後々いくらでも会える間柄に在りながら、その日の内に会うことに凄まじくこだわり、そこにはしょーもないプライドや、偏執的な意地は微塵も存在しない(正確にはかなぐり捨てている)。
 奇しくも敬愛する女性アーティスト三人全員が同じこだわりを歌にした恐るべき偶然の一致にダンエモンはこの「逢いたいよdarling」にて気付かされるとともに、ここに三者に共通して存在する敬愛の素を見出した気がしたのであった。

 最後に蛇足だが、「大スキ!」「おやすみダーリン」の解説でも触れたが、やはりダンエモンは「darling」という言葉が苦手である。サマンサが言う分には受け入れられるのだが(苦笑)。


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平成二四(2012)年一月八日 最終更新