作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし
解説 摩季ネェ13枚目のシングル曲にして、アルバム『POWER OF DREAMS』の四番手に位置する曲である。野球なら最高のポジショニングである(←何のこっちゃ)。シングルの歴史の流れを見ても前後に「愛してます」と「熱くなれ」があり、摩季ネェが円熟味を全身から発散させ出した時期の歌とも云える(勿論摩季ネェの真骨頂は現代、未来において、その魂の続く限り発揮され続ける)。
一言で形容するなら「静かな熱さが漂う曲」とダンエモンは評する。そしてそこに歌われる愛は想い人の生き様に対する強烈な憧れと云える。タイトルにも使われる「あぁ」の感動詞に続く「君の様に」と続く台詞にそれが表れている。また視点を変えて、友情や憧憬に置き換えれば、この思いは同性間や師弟間、仲間内でも通用する歌詞である。
人間誰しも夢を叶えたい、が、そう簡単に叶うほど世の中は甘くなく、「好事魔多し」の言葉通り、とかく障害が多いものでもある。そんな中にあって歌詞に出てくる「君」のような存在を抱けることはは誰にとっても心強いものがある。着実に迷わず進んでくれる人なら喜んで着いていきたくなるだろう。「あぁ もう逃げないで この今を乗り越えてみよう 正しくても間違いだったとしても いつか笑えるように」や「あぁ 諦めないで前だけ向いて歩いてみよう 寂しくてもたとえ苦しくても 何かが見えるまで」の部分はそんな憧れに一途についていく姿が表れいて、自分自身になぞらえたくもなるし、第三者的立場にあったとしても心底応援したくなる。
そしてトリである、「胸の奥の夢だけ抱き締めて 今夜は眠ろう」という締めの歌詞だが、この部分だけを聞いて、上っ面だけを捉えると、憂鬱な一日からの夢の世界への逃避に取れるかもしれないが、歌詞の流れをしっかり追って行くと、ここで歌われる「夢」が「睡眠中の空想」に過ぎないものではなく、「心の奥底に根付いた希望と生き甲斐の糧」である事がよくわかる。そしてこの歌にそんな思いを見出すからこそ、ダンエモンは憂鬱な一日の終わりに、空想への逃避でなく、新たな人生の糧とする為に、よくこの歌詞を夢想するのである。
熱い想いが静かに連続する歌詞だからこそ、言葉の初めに出る「あぁ」という感動詞がタイトルになっているのを成る程と思いつつ、今夜は眠ってみようかな?
令和四(2022)年六月五日 最終更新