Alone
作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 十川知司
解説 岡本真夜さんのサードシングルであるこの曲は同じくサードであるアルバム『Smile』の7曲目に収録されている。
更にベスト版アルバム『RISE Ⅰ』の3曲目、デビュー20周年記念アルバム『Mayo Okamoto 20th anniversary ALL TIME BEST〜みんなの頑張るを応援する』の2曲目に収録されている。
特に『RISE Ⅰ』ではDisk2にAORバージョンが収録されているという待遇である。
『RISE Ⅰ』にて格別の扱いを受けているこの曲は真夜さん自身にとって想いで深い曲であることが2000RISEツアーで述懐されていた。それはデビュー曲「TOMORROW」のイメージで見られていた真夜さんがそのイメージを脱却するのに成功したのがこの歌だった、ということにある。胎内に新たな生命を抱え、歌手として女として人生の大きな節目にあった当時の真夜さんが感慨深げに振りかえっていた様から如何にこの曲への思い入れが大きいかがうかがえた。
曲のコアは「あなた」への思慕と友情との板挟みになっているところにある。殊に「あなた」は主人公の思いを知りつつ、その「大切な友達」を選んでいることや、主人公がその強さゆえに選ばれなかったのを知りつつも「あなた」に認められた強さを捨てられない様が主人公の苦悩に拍車をかけている。
この曲の歌詞は大雑把に分けて三つのパターンに別れる。一つは主人公の想いが伝わりつつ叶わない様、もう一つはひたすら「あなた」とどうありたいかと云う願望、残る一つは孤独に耐える背景の描写である。
これらの中でダンエモンが最も気に入っているのは「あなたの胸で泣きたい あなたの胸で眠りたい 寄り添えば包んでくれる でも欲しいのは同情じゃない」である。少々えげつない云い方をすれば、主人公が己の欲望のままに抱かれたいだけなら願いが叶う余地はあるのである。しかし主人公は「同情」で抱かれることを是としない。「同情」で抱いてあげることが優しさかどうかには少々異があるが、ここは本当に相手のことを思うからこそ「あなたの愛」でもって「包んでくれる」ことを望み、恐らくはその背景に「愛」なしに誰かを抱く不義(←敢えてそう書きます)を「あなた」に犯して欲しくないとの想いもあると思われる。
愛する「あなた」の為にも「大切な友達」である「彼女」の為にも…。
余談だが、ダンエモンはこの曲を知る前に一曲だけ「Alone」という曲の存在を知っていた。アメリカで1980年代半ばに「HEART」とという三姉妹が歌っていた同名の曲が洋楽無知のダンエモンの数少ないお気に入りだった(特に長女のハスキーボイスは魅力)。その記憶をもとに聴くと雰囲気は全く異なるが物静かな曲調の中に多くの想いを抱えている岡本真夜版「Alone」の魅力が際立った気がした。
真夜の間へ戻る 令和五(2023)年九月二一日 最終更新