雨よ私に

         作詞 椎名恵 作曲 メンデスゾーン 編曲 Super Project
解説 椎名恵さんがクラシックミュージックをカバーしたマキシシングル「初恋と青空」のC/W曲で、同じくクラシックミュージックのカバー版アルバム「toy box〜Classical〜」の1曲目に収録。原曲はメンデルスゾーン「無言歌」の中の作品30の6番「ヴェニスのゴンドラの歌」である。イントロと間奏にはスメタナの「モルダウ」が使用されている。
 一言でいえば別れ、それも失恋の曲である。流れから見るに主人公は別れを告げられることも全く予期も覚悟もしていなかったのだろう。必然その衝撃は大きく、「信じない 私」「「嘘でしょう?」私が言う 首を降る あなた」という具体的な反応描写が歌詞に見られる。
 別れの舞台が雨の中であることは神の慈悲だろうか?明らかに「涙を 隠」すのに一役買っている。だがそれ以上に身も心も降っては流れて行く雨とともに流れ消してしまいたいかのような虚無感・絶望感は聞いていて痛々しい。
 この曲の歌詞を構成する重要なファクターである「雨」にはもうひとつの役割がある。洗浄作用である。雨が地表に達し、地下に潜りこむまでに地上に降り注いだいたる所を洗い流すかのごとく、「あなたの事知らなかった私に なるまで」と記憶諸共心の痛みを流すよう哀願する様もまた痛々しい。
 また幸せを疑っていなかった過去を切望して「あなたの声きかなかった私に 戻して」という風に本来とは違う作用を願っている所にも注目したい。
 雨の日とは当然晴天に比べて暗い雰囲気を持つ。敢えてそこに望むものがあるのが主人公の悲しみに対する一番の代弁だろうか?


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