あなただけ見つめてる

あなただけ見つめてる

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし


解説 6枚目のシングル曲であるこの曲はアルバムでは『永遠の夢に向かって』の4曲目、『BACK BEATs#1』の6曲目にも収録されている。これまた摩季ソングの中でも代表的な一曲であり、アニメ「スラムダンク」のエンディング曲としても名高い。ダンエモンもこの曲はファンになる前からその存在を知っていた(しかし、この曲が摩季ソングであることを知ったのはファンになってしばらくしてからであった。何とも間抜けな話である)。

 タイトルからも想像されるように、歌詞全体として相手への「ぞっこん」とも云える熱愛ぶりが溢れている。文字通り「あなただけ」を見つめている=他は何も見ていない、という展開すら見せている。趣味を合わせるだけでなく、そのために自分の周囲のものや自分自身さえ犠牲にし、更には彼氏の母にまで媚びているのだから畏れ入る(←少し語弊のある表現ではあるが)。

 古来より、愛情ゆえに周囲が見えなくなったりする例は多く、歌の世界にもそのような愛は数多く歌われてきた。賛否両論があると思う。愛の為に全てを犠牲にすることを厭わない盲目的な愛を愚かと笑うのは簡単だが、盲目的になるまで人を愛せると云うのもある意味羨ましい話ではある。All or Nothingな世界とも云え、乱暴な表現をすると博打的とも云える。
 かようにリスクが大きいのは何故か?それは後戻りが出来ないからである。勿論後戻りする必要がなければ何の問題も生まないのだが、「この愛は間違いだった」とか「あんな人だとは思わなかった…。」という自体に陥ったときに、それまで犠牲にしてきたものや振り切ってきたものに対して顔向けも出来ず、愛の深さゆえにその傷もまた大きく、それを引きずらねばならない恐怖は想像を絶する。
 「そして他に誰もいなくなった」状態ではもう完全な後戻りは出来ないのである。ダンエモンはこの「あなただけ見つめてる」のみならず、他の曲でも盲目的に惚れる曲や恋愛話を耳にする度に、その愛が一方的なものでないことをいつも祈るのである。

 勿論そこまで盲目的になるのは他の何よりも愛しい人を重んずればこそである。そこまで重んじられる愛は是非とも物にしたい理想の形でもある。
 この歌の主人公の努力は涙ぐましいし、それだけの努力を相手に決意させるだけの男でありたい、そしてその愛に応えれる人間でありたい。
 ダンエモン自身が男である以上、主人公よりも主人公に愛される男の立場になってこの曲を聴いてしまうのだが、こういう聴き方は邪道だろうか?

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令和四(2022)年六月三日 最終更新