あなたがいるから
解説 ファースアルバム『SUN&MOON』の3曲目に収録。ほのぼのした曲調の中に内包された熱さに注目したい曲である。
何が熱いかって、行動そのものがさほど積極的でもなく、何気なく側にいるだけなのに主人公は「あなた」の一挙手一投足どころか、「あなたの手と私の手が ただ触れただけ」、「二人の吐息だけ」、「見つめているだけ」、「優しい鼓動」といった些細なものを感じることが出来ることさえ喜んでいる。
正にタイトル通り「あなたがいるから」であり、「隣にいるだけでいい」のである。勿論人間の欲というものは際限なく膨張するものではある。
ただ側にいるだけが叶えば、体を触れ合わせたくなり、それが叶えばキスをし、それが叶えば………ごほっ!ごほっ!ごほっ!(苦笑)。コホン…まあ、そんな欲の膨張がある人間なのだが、原点である側にいることを時には見つめることが熱々のカップルほど大切なのではないか?と考える。この曲に限らず、何気ない日常にある幸せを重視するのは真夜ソングによく見られる傾向であると同時に魅力でもある事を改めてここに断じておきたい。
物事は何でも基礎が大切である。この歌の主人公は本当に「あなた」が好きで、「誰より 誰より いちばん 大切にしたい」からこそ、基本である「隣にいる」ことにここまでこだわり、些細な触れ合いにも最大限の喜びを見出すのだろう。主人公は幸せになるべくして幸せになっているのである。そう考えれば能力・金・社会的地位・コネなどなくても幸せをつかみ得る人間の強さもまた信じられる気がする。
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