あなたが消えてゆく
解説 椎名恵さんの9thアルバム『ガラスの月』の7番目に収録されているこの曲は同アルバムに収録されている「陥ちたMoral」と並んで暗い曲である。
いわゆる冷めてしまった恋を嘆く歌で、タイトルにある「あなたが消えてゆく」とは「愛に真剣だった」頃の「私が愛してた あなた」であって、冷めてしまった今現在との「あなた」との付き合いは「まるできまり事」でそんな中では自分も「つまらない女」になってしまう、と揶揄している。
ダンエモンは恋愛経験が0なので距離的に側に居ながら、心が通い合わない寂しさを片思いでしか類推できないのだが(苦笑)、ある意味拷問や蛇の生殺しに等しい苦痛が伴うのはわかる気がする。
果たして主人公の前から消えようとしている「あなた」は元々実在していたのだろうか?それとも夢見る主人公の抱いた幻想だったのだろうか?
些か悪意的だが、ダンエモンが思うに「あなた」は主人公を物にする為に主人公の理想とする姿を演じていたのではあるまいか?それゆえに主人公に熱意をなくした「あなた」の姿はあたかも「私が愛してた あなた」が消えてしまったかのような印象を主人公に与えている……根拠とする歌詞は「不器用だからうまく 愛せないと言って 逃げる時にだけはいつでも 器用になれるのね」である。
恐らく真剣に愛してくれるのであれば、「起用」か「不器用」かは主人公にとって些細な問題なのではないだろうか?それが「逃げる時」に発揮されるゆえに皮肉の一つも出てくるのであって。
男女の仲は第三者には計り難いものがある。長い時間を共に過ごせば熱さにも高低があるだろうが、少なくともダンエモンはこの曲から「二人で過ごす意味を 見ようとはしない」様な卑怯なまねと、「私は負ける方選ぶわ」等という悲しい選択を相手にさせるようなまねは慎まなければ、ということを学んだ。
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