あなたがくれた言葉

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 西垣哲二&岡本真夜

解説 岡本真夜さんの10thアルバム『Closed To You』の6曲目に収録。ある意味、真夜さんらしい一面と真夜さんらしくない一面が混在するという意味において珍しいタイプの曲である。

 真夜さんは普段から自らの事を「泣き虫」と称し(実際にライブで感極まって泣くシーンを見たことがある)、この歌の歌詞になる様に「たった一人で 頑張」ろうとしたり、「自分しかいない」と息んだり、といった姿勢を歌詞に表すのは珍しい(気持ちや思想の中に持っていることはあるだろうけれど)。

 だが、真夜さんに限らず人間は弱いものであり、この曲に出てくる主人公も強くあらねば、と思いつつもそれが強がりであったことは冒頭で認めており、「うまくいかないこと 誰かのせいにして」「弱さ認めたくなくて」と綴っており、「たった一人で 頑張らなくていい」という、表題にしてコアでもある「あなたがくれた言葉」にかなりほっとしたものや、救いになるものを与えられている。
 それを端的に示すのが「どんなときも 泣かないって決めてたのに あなたの優しさを感じて Ah 張りつめてた想い 涙に変わった 気づいたよ ひとりじゃないんだね」の歌詞であり、普段自らを「泣き虫」と称する真夜さんに対して意外性を感じたのもその点にある。もっとも、あくまで歌詞の背景的な設定で、根本的な所ではやはり真夜ソングではあるのだが。

 まあしかし何とも羨ましいカポーではある(←何を若者ぶって訳の分からん英語を使ってんだ? by道場主)。嫉妬で言っているのではない(皆無ではないが)、元々二人はそれなりに仲が良かったんだろうけれど、主人公が限界に達した時に「いつでも そばにいてくれるから 頑張れる気がする」という新たな勇気を与えているのだから、主人公も本当に大切な人とはどういう人かを心底痛感したことだろう。もしこのタイミングを狙っていて「言葉」を送っていたとしたら、「あなた」も相当な策士である(笑)。

 正直、ダンエモンのように才能も天賦もない人間は努力するしかないのだが、根拠なく「きっとできるよって 絶対できるよって」と発破を掛けられるのが嬉しい一方で、辛い時があるが、この歌の主人公の場合は「あなたにもらった勇気」という根拠があるから、「夢に向かって 今日と向き合って 一歩ずつ 歩いてく」ことが出来る、と断言出来るのだろう。
 実際、「うまくいかないことを 誰かのせいにして 弱さを認めたくなくて 意地ばかり張っていた」のと比べて主人公は成長しているのだから。

 「頑張れる気がする」というのは「頑張れる」という確信だろう。
それだけ重い「言葉」をくれる人がいるのは貴重である。


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平成二三(2011)年七月九日 最終更新