あの夏に戻りたい
解説 椎名恵さんの13thアルバム『GAMBARE』の4曲目に収録されているこの曲は本音を告げられなかった過去を悔いて、逢いたい気持ちを歌ったものである。
自慢じゃないがダンエモンは惚れた女性には必ず告白してきたので、「あの夏のあなたに Say、Yeah… 好きだった、言えたなら」と言う思いに捕われた事はない。言わない方が良かったのでは…?という思いに捕われた事はあるが(苦笑)。ただやはり告白するまでにはかなりの勇気と各語を必要としたので(実際それらが必要なものだったというのは悲しいが) 「砂浜に書いた本当の気持ち すぐに波が消してしまって」という風な、悪く言えばセコイ手段に訴えなければならなかった心情には悲しいものを感じるし、「それが二人を遠ざけてゆくなんて」が事実ならその実感はひとしおである。
ラブソングを聴いていて度々思うのだが、実際の所、「すれ違い」とはどこから生まれるのだろうか?勿論ケース倍ケースで一概でないのはわかるのだが、少なくとも一方がもう一方に好意を持つなり、双方が何らかの形で好意を抱き合ったというシチュエーションが前提として存在しなければ「すれ違い」もまた生まれようがない。まさに「すれ違い」とは愛が生む切ない悪徳である。
そう考えると「素直になれば切なくなってしまう くだらない理由ね」という歌詞がどこか胸を突いてくる物がある。
最後に注目する歌詞はラストの「夏に向かう度に この胸が痛むよ Wow…もう一度逢いたいよ In summer time」である。過去に勇気を持ち得なかったために「すれ違い」を生み、それを悔やんでいる主人公だが、今もう一度会えば今度は勇気を持ち得る確信があるのだろうか?主人公が後悔の中で何を掴んだのかが興味深い。解説者としては結果を恐れず挑む勇気か、如何なる結果もやるだけやって得る事に意義があるという事実か、或いはその双方と望みたいところである。
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