作詞 藤林聖子 作曲 tatsuo 編曲 中川幸太郎
解説 摩季ネェの32thマキシシングルにして、『仮面ライダーOOO』(「かめんらいだーおーず」と読む)の主題歌である。 この曲のリリースを初めて耳目にした時の衝撃、喜び、驚愕はとても筆舌で表せるものではない……。
ダンエモンが摩季ネェファンだからなのは勿論、道場主のもう一つの分身は特撮房の案内人・シルバータイタンで、摩季ネェファンになる以前からの仮面ライダーファンである。過去にMDRIVEの掲示板でも「摩季さんがオートバイに乗っている姿は似合いそう。」、「ダンエモンは仮面ライダーマニアでもあるから…」と書き込んだこともあった。
奇しくもこの曲が発表される3ヶ月前にライブで「U.Be Love」を聴いた際に、歌詞の一部が当時放映されていた『仮面ライダーW』(「かめんらいだーだぶる」と読む)の主題歌(上木彩矢さんとTAKUYAさんのコンビが歌う「W-B-X 〜W Boiled Extreme〜」)と「少し似ているな……しかし摩季ネェが仮面ライダーの主題歌歌ってくれるなんてことは……無いだろうなぁ……(苦笑)。」と思っていたから真剣にビビった。
当時勤めていた会社の後輩にライダーマニアがいて、「摩季ネェが歌ってくれたら絶対に遭うと思うぜ。」と語りかけるも、「いや、Hさん、俺、大黒摩季全然知らないから…。」と言っていたので、彼も僅か3ヶ月後にライダーソングのシンガーとして摩季ネェが現れたことには驚いていた。
まあこのサイトの目的は楽曲・歌詞解説なので、背景の話は下記の「余談」に譲りたい。だが、歌詞自体が『仮面ライダーOOO』のストーリーを反映しているので、歌詞を重視する方は仮面ライダーに興味が無くとも多少はストーリーの把握をお願いしたい。
『仮面ライダーOOO』は「人間の欲望」をテーマとしている。タイトルであり、主人公の名前であり、歌詞にも時折出てくる「オーズ(OOO)」には、「主人公がキーアイテム・オーメダル3枚用いて変身する」、「Over ∞ (無限大以上)」=「無限大すら超越した最高の満足」の意味が込められている。
主人公・火野映司(渡部秀)は日々履くパンツをしっかり確保することだけを重視し、放浪とアルバイトを繰り返していたが、欲望から生まれる硬貨・オーメダルと、メダルを巡る人間と怪人との争奪戦に巻き込まれ、数々のメダルと仲間・的(定義が曖昧な存在も含む)と時に協調し、時に争い、様々なドラマを繰り広げていく。
平成二三(2011)年四月三日には昭和四六(1971)年四月三日の『仮面ライダー』第1話から数えて、仮面ライダーシリーズ放送話数通算1000回を迎えた記念作品でもある(これを記念し森下千里、千秋、若槻千夏、ハリセンボン諸氏が客演した)。
これらの背景を反映した歌詞ゆえにバックコーラスでは「You count the medals 1,2 and 3」の歌詞が繰り返される。
そして主人公・火野映司が当初マイペースを通り越して、夢も野望も感じさせない静か過ぎる放浪生活にあったことが「要らない持たない夢も見ないフリーな状態… それもいいけど」の歌詞に反映されてもいる。勿論「それもいいけど」と言うのは、「それ」では終わらないことを意味する。
そして数奇な運命から数々の望まざる戦いに巻き込まれた映司の如く、「運命は君放っとかない 結局は進むしかない」とあるが、映司がどこまでもお人好しなまでのマイペース(実際はお人好しでもなく、達観しまくった人生観にも理由があるのだが)を貫く様が続く歌詞の「大丈夫。明日はいつだって白紙(Blank) 自分の価値は自分で決めるものさ」に窺える。
どこまでもマイペースを貫く姿勢には、他者との比較を否定する意味合いが強く、「外側にステイタス求めないで 内に秘める 自身が大事」や「その背を比べ並んだって 意味なくない? 一抜けしよう」や「大丈夫。みんなと違ってもいい 別々 それぞれ だから そう、奇跡的!」といった主に2番の歌詞に満載されている。
そしてサビである「Anything Goes! その心が熱くなるもの 満たされるものを探して Life goes on! 本気出して戦うのなら 負ける気しないはず!」と「Anything Goes! その心が 求めるものに 正直になればなるほど Life goes on! 加速ついて 止められなくて 負ける気しないはず!」の歌詞には勝利への欲望が満載されている。
この勝利とは必ずしも他者に勝ることを意味している訳ではない。己の求めるものに対して正直に、純粋に進む力が何物にも邪魔されず、またそのような気持ちを持ち続けることが自分らしく生きる意味において何者にも負けないことを意味している、とダンエモンは見ている。
人間は自分より弱いものと戦えば負けることは無い。しかし自分に負けないというのが意外と難しい。根は恐ろしく単純な筈なのに、である。だが、決して出来ないことではないのも事実である。
それが難しいのは、すぐに結果が見えなかったり、後になって気付かされたりすることが多いからだろう。結果を知ってから知ったかぶりをする後出しジャンケンは負けていない振りは出来ても何の解決ももたらせない。
そんな気持ちを反映し、即座の結果を求める心も否定しないのが「1からのスタート そこから 足し算を飛ばして かけ算で駆け上がっていって Anything goes! Goes on…」の歌詞だろう。初回版限定のプロモーションDVDではこの歌詞の直後にそれまで赤いレザースーツを衣装としていた摩季ネェが白いミニスカの衣装で映像内で苦戦する仮面ライダーOOOに摩季ネェがコアメダルを投げ渡し、OOOが多段変身するや、熱狂する観客の頭上に大砲から打ち出された銀の紙吹雪が大量に舞っている。まさに欲望=純粋な想いから出た魂のシャウトと言えるだろう。
そしてこの銀紙吹雪は熱狂して汗まみれになった体に容易に貼り付き、なかなか取れず……えっ?何でそんなこと知っているのかって? フフフ、実はそのDVDにダンエモンが映っているのだよ(実話)。
まあ、嬉しい自慢は置いておいて、詰まる所、この曲の歌詞はストーリーを反映した人間の欲望が持つ純粋さと強さ(他者との比較による相対的なものではなく、自らと向かい合った絶対的なもの)をカウントされるメダルの枚数を重ねるように歌いあげ、それを体内からわき立つような調べの曲が裏打ちしている様が秀逸である。
プロモーションDVD 前述したように、この「Anything Goes!」のマキシシングルには初回限定版に限りプロモーションDVDが付いている。
『仮面ライダーOOO』の放映が平成二二(2010)年九月五日に始まり、その2ヶ月後にファンクラブ・エムドライブより「プロモーションDVDの撮影に参加しませんか?」とのメールがダンエモンの元に来た。どう返事したかなど述べるまでも無いだろう。
参加は抽選だが、幸運にも当選し、これに参加。ファンクラブ並びに撮影所との約束で、撮影における詳細は触れられないが、DVD上のストーリーは摩季ネェがこの歌を歌い、それに熱狂する観客(の中にダンエモンを含むエムドライバー達ファンクラブ会員)がいる裏手で、番組の敵役であるグリード・ウヴァが侵入し、ライブスタッフ達が暴行を受けるのを仮面ライダーOOOが阻止する物となっている。
観客達はウヴァの襲撃を知らずに呑気に熱狂する(笑)が、摩季ネェはOOOの能力の源であるコアメダルを投げ、それを受け取ったOOOはガタギリコンボ(クワガタヘッド・カマキリアーム・バッタレッグ)にコアチェンジし、ウヴァを圧倒。ウヴァは煙の中に逃走し、勝負を知らないまま、ライブは大盛況のうちに終わる物となっている。
ちなみにダンエモンは2分27秒から2分28秒の間、摩季ネェを後ろから移した観客の中に横縞のシャツを着て絶叫している。暇と興味ある方(いるのか?)は探してみて頂きたい。
余談(仮面ライダーに興味の無い方にはよく分からない内容になると思います) 昭和四六(1971)年に始まった『仮面ライダー』はその人気からシリーズを重ね、『仮面ライダーストロンガー』までが第一期、『仮面ライダー(スカイライダー)』&『仮面ライダースーパー1』が第二期、昭和と平成を跨いだ『仮面ライダーBLACK』&『仮面ライダーBLACK RX』が第三期に数えられ、その前後にも特番やビデオ単発作品を挟んでいたりする。
そして平成一二(2000)年一月に『仮面ライダークウガ』が始まり、平成26(2014)年四月現在まで途切れることなく、平成ライダーシリーズは続いている。
勿論、それぞれに主題歌があり、ダンエモンは特撮房シルバータイタンとしては、平成一三(2001)年放映の『仮面ライダーアギト』を最後に主題歌から「仮面ライダー」の歌詞が消えたことを不満に思っていた。
歌い手もISSA氏(DA PUMP)、相川七瀬氏、Gackt氏といった錚々たる面子が含まれ出し、「歌よりも、歌手で売って無いか?」と言う気持ちも多少は抱いていたが、そんな気持ちはこの「Anything goes!」の登場で雲散霧消したのだからダンエモンは調子の良い奴である(苦笑)。同時にそれまで本気で分析していなかったことも恥じ入らされた。
そして普段はダンエモンの特撮マニアぶりを馬鹿にしていた会社の同僚が子供にせがまれて「Hさん、『仮面ライダーOOO』のCD貸してくれ!大黒摩季ファンのアンタなら持っているだろう?」と何人も言って来たのだから、こいつ等も調子のいい奴等である(苦笑)。
ちなみに『仮面ライダー龍騎』(「かめんらいだーりゅうき」と読む)(2002年)を除いて歴代作品主題歌すべての作詞を藤林聖子さんが担当。ライダーの名前が出ずとも、歌詞は本編のストーリーを(程度の違いはあるが)反映している。
平成仮面ライダーシリーズは個々の作品が連綿と続く歴史ではなく、パラレルワールドに設定されていることもあり、世界観の異なる作品が大半である。にもかかわらずそれぞれに合う歌詞を見事に作り出す藤林氏の作詞力は驚嘆する他は無い。
そして歌う摩季ネェにとって、『仮面ライダーOOO』は本人曰く、「藤岡弘、さん以来の仮面ライダー」とのことで、制作サイドから「とにかくハデハデなロックサウンドを頼む」という要望で、「ロック調の曲を多く手掛けている」ことを理由に歌い手に選ばれた摩季ネェはこれをきっかけにまずは『仮面ライダーW』を観るようになったとのことだった。
また後に摩季ネェはを見て、「Anything Goes!」の売れ行き(「夢なら醒めてよ」以来のオリコンTOP10入りを果たした)に、「仮面ライダーパワー、恐るべし…」とも述べていた。
後にこの曲に派生して、摩季ネェは「HEART∞BREKER」・「Anything Goes!″BALLAD″」をリリースすることとなったが、願わくば今後のライダーシリーズも手掛けて欲しいものである。同じ歌手が再起用された例は現時点でまだ無いので苦しいとは思うが。
参考
平成仮面ライダー作品 放映期間 主題歌 歌い手 仮面ライダークウガ H12.1〜H13.1 仮面ライダークウガ! 田中昌之 仮面ライダーアギト H13.1〜H14.1 仮面ライダーAGITO 石原慎一 仮面ライダー龍騎 H14.2〜H15.1 Alive A life 松本梨香 仮面ライダー555 H15.1〜H16.1 Justiφ's ISSA 仮面ライダー剣 H16.1〜H17.1 Round ZERO〜BLADE BRAVE〜 相川七瀬 仮面ライダー響鬼 H17.1〜H18.1 始まりの君へ 布施明 仮面ライダーカブト H18.1〜H19.1 NEXT LEVEL YU-KI 仮面ライダー電王 H19.1〜H20.1 Climax Jump AAA DEN-O form 仮面ライダーキバ H20.1〜H21.1 Break the Chain Tourbillon 仮面ライダーディケイド H21.1〜H21.8 Journey through the Decade Gackt 仮面ライダーW H21.9〜H22.8 W-B-X 〜W Boiled Extreme〜 上木彩矢 w TAKUYA 仮面ライダーOOO H22.9〜H23.8 Anything Goes! 大黒摩季 仮面ライダーフォーゼ H23.9〜H24.8 Switch On! 土屋アンナ 仮面ライダーウィザード H24.9〜H25.9 Life is SHOW TIME 鬼龍院翔 from ゴールデンボンバー 仮面ライダー鎧武 H25.10〜 鎧武乃風 JUST LIVE MORE
平成二六(2014)年四月一二日現在
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