ASAHI〜SHINE&GROOVE〜

         作詞 大黒摩季& Sixteen femeal fighters on the field 作曲 大黒摩季
解説 大黒摩季さんの7thマキシシングルで、アルバム『HAPPINESS』のトリである14曲目に収録。
 北海道出身の摩季さんが 2004年アテネオリンピック出場を決めつつも、他の種目に比して資金不足に悩む女子ホッケーチームの経済的・精神的サポートの為に生まれた、彼女達の合言葉である「ASAHI」をタイトルとした曲にして、社団法人日本ホッケー協会公認・女子チームオフィシャルサポートソングである。
 言うまでもなく、作詞の「Sixteen femeal fighters on the field」とは女子ホッケーチームの選手達で、摩季さんの好意に感謝し、常に17人で戦っている、と述べている。
 少々話は逸れるが、四国お遍路の巡礼者達がかぶる笠には「同行二人」と記されている。これは巡礼の修行中、常に自分ともう一人、弘法大師(空海)様が供にある、二人で同行していることを意味し、女子ホッケーチームと摩季さんの在り様にもこれと似たものがある。
 ではいよいよ歌詞の解説に入るが、この歌の歌詞は前述したように、16人の女子ホッケーチームの選手達が作詞に加わっており、彼女達の座右の銘を摩季さんがまとめたもので、その座右の銘と構成した摩季さんらしさを併せて解説したい。
 まず冒頭の「ASAHIは決して沈まない 高く高く昇るだけ」とはFW千葉香織選手の銘で、正しく闇に光を与え、昇り行くが如き朝陽の姿が、曲の始まりと相まって秀逸である。
 続く、「わたしは私でいたい 自分らしく」(GK宮崎奈美選手MF斉藤尚子選手)はそれに続く「限りない可能性に懸けてみたい」(FW森本さかえ選手)と供に「BRAND‐NEW DAY」を彷彿とさせる大黒摩季式ゴーイングマイウェイなノリが耳に心地いい。
 要所要所として注目したいのは、「自分だけを信じて」(FW駒澤李佳選手)や「挑戦(FW加藤明美選手)も努力(MF中川未由希選手)も挑戦するだけじゃ意味がないわ」という、些か摩季ソングらしくない歌詞である。
 ダンエモンは勝ち負けといった結果しか見ない物の見方を好まないし、同様にそういう物の見方しかしない人もまた好まないが、周囲の問題より、やはり負けて悔しいのは当の本人に決まっている。そんなスポーツの世界に生きる人々への応援歌として、敢えて非情な意見を持って来る事で、「自分に負けて泣くよりも勝って泣きたい」(MF喜多田明子選手DF櫻井絵美選手)の歌詞まで際立った来る様は秀逸を通り越して絶品である!
 そして見逃してはならないのは背景にある「ハート」(キャプテンDF三浦恵子選手)、「プラス思考」(GK寺田理恵選手)、「継続」(DF小林千恵選手)、「自信」(MF山本由佳里選手)、「夢」(DF石田利佳選手)といった、ありふれている様でも、忘れてはならない要素が曲中に満遍なく振り分けられている点である。
 それでいて「くじけそうなときは大好きなアノ歌を聞いて」(MF岩尾幸美選手)という歌詞−「アノ歌」とは「水戸黄門」の「あゝ人生に涙あり」である−等を含むのもこの曲の大きな特色の一つである。道場主は大の「水戸黄門」ファンなので特に共感している(笑)。
 まさしく「熱くなれ」「アイデンティティ」に勝るとも劣らぬ応援歌に相応しい歌である。この曲がサポートソングである事を尊重して、歌詞解説は敢えて選手たちの座右の銘に由来する部位に留め、全体については希望と始まりの象徴と言える「ASAHI」が暖かく、優しく全てを照らす様の見事さとマッチしている事を訴えておきたい。
 女子チームは摩季さんへの「感謝忘れず」(FW森皆実選手)に頑張ってくれるのは間違いないだろう。これを書いているのは2004年7月29日だが、オリンピック後に追記を行う事を宣言すると供に、それを大変楽しみにしている事を述べて、一先ず筆を置きたい。

摩季の間へ戻る