birdcage

         作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 建部聡志
解説 4thマキシシングル「勝手に決めないでよ」のC/W曲である。ダンエモンの知人(特に女性)の間ではA面の「勝手に決めないでよ」よりこの「birdcage」の方が好き、という人が多い。何とか愛を繋ぎとめようとするA面に対して、愛に囚われず新たな未来を目指そうとするこの曲は好対照である。
 タイトルの「birdcage」は進展のない恋にあって未来への飛翔を足止めされている状態を「birdcage」―鳥篭にいる状態に比喩した物である。
 「birdcage」に例えられている主人公の置かれた状況は複雑である。「与えられるこの幸せ」「birdcage温かくて」といった歌詞を見れば主人公は決して不幸の内にはなく、かなり幸せな状況にあると見える。つまり今現在の「幸せ」と心の内が求める「夢」とが秤にかけられているのだろう。
そしてその背景には時の流れが決断を迫っている様子が「衰え行く情熱の翼 たぶんこれが最後のchance」の歌詞に、そして秤にかかったものを選びかねている迷いを「重い扉」の歌詞になぞらえている。
だが、誤解してはいけないのは、主人公は現状の安らかな「愛」と未来の不確かな「夢」を秤にかけてはいるが、安直に「夢」の為に「愛」を捨てるかどうかを悩んでいるのではない。「夢」の為に「愛」を失うリスクを負うことを危惧しつつも、失わずに済むに越したことはないのであり、それ故に主人公は迷うのである。
以上から見て、迷いを見せているものの主人公の意思は明白である。間違いなく主人公は「birdcage」たる閉ざされた現状の「思い扉を開け」「飛び立つ」だろう。それゆえに「全身でぶつか」る不退転の決意を要するのである。
「夢」「愛」を天秤にかけて悩む人は多いだろう。芸能芸術に生きる人、分単位で動くエリートビジネスマン、一人見のためだけに動けない経営者、何かを求めて修業中の人…と枚挙に暇はない。そして逆説的ではあるが人間はそんな時にこそ却って恋を求めたくなる。それがこの歌が多くの人々の心を捉える所以であろう。勿論捉えても「birdcage」の様に閉じ込める訳ではないのだが。
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