BLUE CHRISTMAS

         作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし
解説 アルバム『U.Be Love』の7曲目、トリに位置する曲である。夏が似合う女・摩季が珍しく冬を歌った曲である(いや、春や秋もあるんですよ、ちゃんと)。
 タイトル通り、憂鬱なクリスマスである。クリスマスに相手がいなくて淋しい思いをする男女は多いかと思うが、この歌の主人公は相手がいるにもかかわらず、クリスマスに同じ場で同じ時を共有できない状態にある。それが「Blue」なのである。
 毎年シングルベルのクリスマスを過ごすダンエモンの立場から見れば、「別にクリスマスに一緒にいれなくても、他の時に一緒にいればいい話じゃねぇか?」と考えてしまう。更にダンエモンは仏教徒なので、クリスマスには用はないのだが、日本という国にいつの間にかできてしまったクリスチャンでなくても若者は恋人同士過ごさなくてはならないような、独り者に惨めな思いをさせるようなシステムには辟易している。別にクリスマスに一人でいることに違和感はない。わざわざクリスマスに何かを感じるぐらいなら日々の日常に恋人にいない己の至らなさの方がよほど深刻である。本当に大人となった今となってはクリスマスは意識せずとも周りが独り者でいることを責める日として鬱陶しい。おもちゃとご馳走を喜べた子供の頃とは大違いである。
 コホン、個人的な愚痴が過ぎた(苦笑)。ダンエモンのクリスマス観は置いといて、この曲の主人公はクリスマスの今を彼氏とは距離を置いている。しかも飛行機で行くような遠くである。別れがあったわけではなく、恐らくは仕事か何かで、主人公はそれを引き止めなかったのだろう。がしかし、クリスマスイブの楽しそうなカップルを見て、本当ならこうして過ごせたかもしれない…という思いに、見栄も外聞も捨てて彼氏を追いかけていきたい気持ちを歌っているのである。「逢いたいよ今すぐに 『バカ…。』が無償に聞きたい 我慢してまで私 イイ女になりたがってる」が恐らく本音への後悔で、それが「朝一番で飛ぼう プライドは捨てましょう」に繋がるのだろう。
 ある意味、意地を貫いた直後にプライドを捨てるのは大きな勇気を必要とする。「きっと2時間前なら」と思うだけに尚更だろう。だがやはり、追いかけていくことが可能なだけ主人公は幸せだ。「Blue」「Lonely」も時間が解決してくれることなのだから。
 誤解ないように書いておくが、ダンエモンはこの曲が嫌いなのではない。好き、と断言できる。立てたばかりのプライドを捨てて愛するものを追える主人公の一途さには美しいものすら感じている。宗教に節操なく、無関係な人間まで巻き込んで独り者を馬鹿にする傾向にあるこの国のクリスマスシステムに反感を抱いているだけである。宣言する。例え彼女ができても相手が敬虔なクリスチャンでない限りクリスマスだからといって「猫も杓子も」状態で行動したりしない、と。意味のない宣言だとは思うが…。
 最後に補足として、この曲をきっかけにポインセチアの存在を知ったことを白状しておこう(笑)。

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