Boy's shadow
解説 椎名恵さんの16thアルバム『Tell me』の8曲目に収録されている。どこか「shyなboy」を彷彿とさせる曲である。
何回か書いたが、ダンエモンは年上の女性に甘えるシチュエーションが大好き(笑)で、30過ぎにもかかわらず、椎名さんに「Boy!」と呼びかけられると嬉しくなるが、ここに出てくる「Boy」には少々の嘲りも見られる。何故少々なのかは以下の解説を読んで頂けると御理解頂けると思われると。
その前に触れなければならないのはこの曲の歌詞が語るものは偽りに塗り固められた誘惑を許さない強さである。「心持たないマネキンのような腕 抱くのはやめて」と突っ撥ねるように、「快楽だけのGame」でいくら場数を踏んでも真の心が伴わない「今までの手口使い分けても」この主人公には「少しも効き目はない」のである。
本来これは至極当然のことである。恋を「Game」とすることを道場主は昔から大っ嫌いだったし、自分が愛してもいない相手から愛されようなんて、甘いを通り越しておこがましいとさえ思っている。「愛にさえ嘘が隠れていると あの男性に教え込んだのは誰?」との怒りがいの一番い来ることにもダンエモンは同意する。
そしてそんな悪しき恋愛観に染まった相手を主人公は少々の嘲りを込めて「Boy! You're shadow!」−坊や!あんたなんて影(でしかない)!と言い放っているが、これがただの嘲りでないのは椎名ファンであれば理解できるだろう。そもそも意味のない嘲りなんて自らの評判を下げ、相手の恨みを買うことでしかないことを道場主も「菜根譚」から学習済みである。
主人公の「Boy」への嘲りは、言い換えれば挑発である。「遊びは終わり 一度きりもでいい、本気の涙 私に見せて欲しい」、という相手に対する要求もそうだが、「嘘を払いのけて最後に残る 一つが愛なんだよ」、「冷たい言葉と深いため息なんかで 曇らせないで欲しい」、「純粋なくらい切ない気持ち それが愛なんだよ」という風な諭しの言葉も注目すべきである。つまり諭しを必要としている理由、「Boy」に期待すればこそである。
簡単に言えば、本当に思う気持ちもない相手に苦言を呈するか?否、呈しやしない(反語)、という事である。ゆえに主人公は「Boy」に求めるだけではなく「その心の影は私がきっと 光に変えてあげる」と、自らの動く意志をも示している。「つないだ手から 愛が流れて行く」とは恐らくは双方向なのだろう。早く自分に認められる男になって、本当の愛を自分に流して欲しい。そしてそうあってこそ自分からも愛を流してあげたい……そんな気持ちが短い歌詞に集約されている気がする。
最後に個人的趣味を交えれば、上記のような諭されるような年長者の愛情はダンエモンがとても好むものである、ということである。決して熟女の体で男を釣るような色気に酔いたい「だけ」ではないのだ(苦笑)。
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