Cheri 愛しい人

         作詞 ラヴェル 作曲 椎名恵
解説 クラッシックをカバーした椎名恵さんのアルバム『toy box〜Classical〜』の2曲目に収録。元曲はラヴェルの「亡き王女の為のハヴァーヌ」。
 同アルバムの歌詞カードによると、椎名さんは「ラヴェルの「亡き女王のためのハヴァーヌ」のメロディをちょっと不思議なリズムにのせて表現しました。美しいこの曲の旋律にピッタリ合うのでは。ポップスの変わったリズムと、クラッシックのメロディというある種、異質とも思える組み合わせが、面白さを醸し出しています。」とコメントしている。
 歌詞の内容は別れの危機に直面した、より正確に言えば捨てられる危機に直面した主人公が「愛しい人」との順調な仲の復活を相手の笑顔に求めているものである。
 妙に落ち着いた曲調や、取りたてて急ぐかのような危機を感じさせる歌詞が見られないところから、恐らくは自然消滅的な危機なのだろう。
 歌詞には「今のあなたの夢や明日に 私の愛が居る場所は もう無いようね」とあるところから既に形骸化しているのだろう。そして「何も言わずにドアに消えてく これで最後といつも思う」という歌詞からいつ終ってもおかしくない、と言いた気な諦観じみた姿も感じる。
 そしてそんな冷め切った現況に救いを求める主人公の心が一言に集約されているのが、頻発する歌詞である「あぁ、愛しい人 どうか笑って」である。「笑うその顔好きだったのに やさしさ間違えて あなたを苦しめた」とあることから、求めたはずのものを遠ざけた悔恨が痛々しくもあり、恐らくはその笑顔が溢れていたと思われる「二人出会った頃」への執着も際立ってくる。
 惜しむらくは諦観が強く、ただただ悔いている様にしか見えない姿が些か椎名ソングらしくない。「もう、たたんで持って行くわ どこか遠く」という歌詞に対しては、そこまでの想いは独り善がりに抱え続けず、ぶつけるだけぶつけて「あなた」の笑顔を取り戻し、駄目なら駄目で捨ててしまえ!と主人公に言い放ちたい気分になってくる一曲である。


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