Close To You〜ひとりじゃないよ〜

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 西垣哲二&岡本真夜

解説 岡本真夜さんの10thアルバム『Close To You』の2曲目に収録。言うまでもなくカーペンターズの名曲に因むもので、アルバムのタイトルと同名であることから当然同アルバム収録曲の中核を為し、1曲目には「Close To You〜Prelude〜」が、12曲目には「Close To You〜Reprise〜」が収録されている。
 そして、デビュー20周年記念アルバム『Mayo Okamoto 20th anniversary ALL TIME BEST〜みんなの頑張るを応援する』の11曲目にも収録されている。

 歌詞内容はストレートなまでの友情の歌で、モデルとなったカーペンターズの同名の曲が多くの人々に讃えられる想い人への羨望と近くにありたい気持ちを歌ったものに比べると、対象は「ともだち」で、恐らくは同性なのだろう。

 特徴的なのは励ましの曲でありながら、歌詞・曲調ともに極めて穏やかなことにある。
 伝達手段が面と向かっての会話でもなく、電話でもなく、「手紙」であることに始まり、「君の悲しみ 100%は無理だけど」「恋人でも家族でもないけど大切な存在で 同じ時間を駆け抜けてきた かけがえのない仲間」といった明らかに一歩距離を置いた立ち位置が、心遣いと相手への信頼を漂わせているのが秀逸である。
 殊に、応援の対象である「君」は言葉悪く言えば「強がり」な人であることが窺え、余り強い口調で励ましたり、辛い気持を直に突いたりすると却って反発されたり、自らの殻に閉じ籠られるであろうことは想像に難くない。
 だからこそ緩衝材となる距離と時間が必要で、それを端的に言い表しているのが、サビにて連呼される「ゆっくり ゆっくり」の歌詞なのだろう。

 また真夜ソングの傾向として見ておきたいのが、主人公が恥ずかしがり屋さんであることが多いという点で、「ハピ ハピ バースデー」「どんなに強い風が吹いても」にも直に話すのを恥ずかしがって、「手紙」やメールを使う描写があり、この曲の主人公が「手紙」という手段を取るのも、相手への思い遣りと、自分自身の恥ずかしがり屋振りもあるのだろう。
 勿論これは歌詞傾向から類推したものに過ぎないが、「今日の私 明日の私 君がいれば大丈夫」の歌詞からも、主人公がいざという時には「君」を頼りにしているであろうことからも、もともと二人は何かと支え合っているのだろう。

 そして普段がそうだから、傷ついた姿を見せたくない、見たくない気持ちは無理無いことだから、間違いない再生を確信しつつも「ゆっくり ゆっくり」と呼び掛け、最後の最後に「ひとりじゃないよ だって ともだち。“」「ずっと 待ってるよ だって ともだち。」と締めて、信頼を示すのだろう。
 となると、この歌詞だけ文末に「。」が付くのも納得がいく。手紙に書いている文句の最後だから、というのもあるのだろうけれど、どこか「モー●ング娘」や「藤○弘」と同じ用法が感じられたが(笑)。


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平成二七(2015)年八月八日 最終更新