Compulsory

         作詞 佐藤純子 作曲 羽場仁志 編曲 樫原伸彦
解説 チョット背景のわかりにくいこの歌は椎名恵さんの6thアルバム『C'est la vie』の4曲目に収録されている。タイトルにも使われている「Compulsory」は辞書を引くと「強制的な、義務的な」という意味とフィギュアスケートでの教義の名前のとしての意味があるが、ここでは後者は関係ないと断言していいだろう。
 歌詞全体から推測するに、主人公が求めているのは自由ではないだろうか?「自由」という歌詞こそ見られないものの、「Compulsory」の否定や「自分を縛るもの ほどきたい」「二人を縛るもの ほどきたい」といった歌詞に束縛からの解放がうかがえる。
 とは言っても主人公は「あなた」のことを嫌いになったわけではないのだろう。歌詞に出てくる「あなた」に主人公は「愛されていて」、また彼は「生真面目」「あなたの正しさに時々 苦しくなるわ」とあるのも「あなた」を非難しているのではなく、どちらかといえばその「正しさ」に追いつけない自分への嫌悪感とも受け取れる。
 こうして見ていくと核となる歌詞が「誰にも 邪魔されず 今夜は気のむくままに」「休みたいの この恋も」ではないかと思える。主人公は「あなた」との恋も「あなた」の魅力も充分に満喫しているのだろう。ただ順調且つ単調過ぎる日常に自然と出てくる「これでいいのか?」という気持ちを押さえられず、敢えて普段の自分とは違う自分に飛びこんでみたいのだろう。勿論それは一時的な感傷である。
 話が逸れるが、かつて道場主は小柄で腕力・運動神経・勇敢さで周囲に極端に劣り、その弱さゆえに大人・教師の助けを必要とする為にクソ真面目に徹する生徒だった。それゆえに義務的に所属する場では真面目だったが、自らが望んで所属した場では真面目さのカケラもないやんちゃ坊主だった。例えば中学時代に短期間嫌々通った学習塾や親友Mとコンビを組んだ野外活動団体では暴力的な脅威にさらされないと見るやふざけまくる日常だった。道場主の小学校・中学校・航行の担任の先生方には信じられない一面である。
 そしてふざける道場主の根底にあったのは臆病ゆえに自らの思うように振る舞えない日常に対する、真面目の仮面をかぶって強気物の顔色をうかがって生きなければならない道場主が自分として振る舞える時間だと思っていたからでもある。
 ここで話を戻すが、人間が単調な時間の中で求める、いつのまにか作られてパターン化してしまった自己からの脱却の時間がこの歌の主人公の「今夜は気のむくままに」飛び込もうとしている世界ではないだろうか?と過去の道場主を振りかえってダンエモンは類推した。
 勿論椎名さん及び道場主の名誉の為にも普段の自己を離れた感情に任せた行動への衝動が常識や良識を無視したものでないことを補足して解説を締めたい。


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