CRASH & RUSH🔥 feat.doa

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 原田喧太

解説 摩季ネェの14thアルバム『MUSIC MUCSLE』Disc2「RESTING MUSCLE」の9番目に収録されている。
 一曲前に収録されている「Harmony」ではdoaの一員である徳永暁人氏がデュエットしているが、この曲はdoaがチームとしてコーラスに参加している。

 歌詞内容や曲調を見ると、Disc2のサブタイトルである「RESTING(=休み中)」とは対照的にかなり躍動感に溢れる曲である。
 冒頭で「HEY! BABAY, LET’S DRIVE AROUND CALIFORNIA☆彡彡 一緒に 旅へ出よう あの日に夢見たルーツ辿って」と呼び掛ける様に歌っているが、これはある意味、なかなかデビュー出来ずにいた摩季ネェが「STOP MOTION」を残してアメリカに旅だった過去を彷彿とさせる。
 ダンエモンはアメリカに行ったことが無い(令和5(2023)年10月6日現在)ので、歌詞の中に出て来る「CALIFORNIA」「チャイニーズシアター」「ビバリーヒルズHOTEL」「405」「HUNTINGTON BEACH☀」も想像出来ないのが悔しい(苦笑)が、これらが摩季ネェにとって大切で、こだわり有るものであることは何となく伝わる。

 そしてそれらに勇気付けられた経験を周囲に示し、それに「FOLLOW ME」するよう呼び掛けている様が心地いい。
 サビの「未来はそう 暗くない 道も言うほど狭くない まず 思いをぶつけ合おうよ Hey!! CRASH & RUSH🔥YOUR HEART」「誰かに裏切られて 傷ついているのなら 私を信じればいいOH!! CRASH&RUSH🔥YOUR LOVE」「ひとりじゃ無理だなんて たじろいでいるのなら 皆で叶えればいい さぁ CRASH & RUSH 🔥 YOUR DREAM☆」「君は決して弱くない 何もないなんてことはない そう 人には必ず一つ宝物があるから」と云った歌詞に勇気づけられる人は多いと思うが、ダンエモンが個人的に注目するのは、これらの歌詞が大いなる夢や目標に向かってマーチやデモの様な「群れ」を連想させることである。

 個人的な想いだが、ダンエモンは群れるのが嫌いな人間である。ライブすらも本来は数十人規模の空間でアーティストとの距離が少ない方が好みで、宴会も数名でつるむ位が一番楽しい。それゆえ、デモ行進を見ていても、暴徒が文句をがなり立てているみたいに見えて(←偏見であることは認めます)、大勢が合流して進む様に好感を抱かないことが多いのだが、この曲はチョット異なる。

 まあ、「摩季ソングだからだろう?」と云われれば8割方その通りなのだが(苦笑)、歌詞内容を精査するに、やはり根幹に「私を信じればいい」の歌詞があるからだと思う。
 ダンエモンが「群れ」を嫌うのは、集まる人が多ければ多い程同じ価値観の共有が信じられず、大方はその場のノリや雰囲気に流されているように感じるからである。勿論、求心力の強い少数に率いられた流れが真に正しく、参加者が心の底からそれに賛同しているなら素晴らしいことだし、その群れは大きな力を発するだろう。
 あるデモやマーチを見てダンエモンがそれを否定する筋合いはないのだが、偏見を承知の上で、何かをがなり立てながら行進する人の群れを好意的には見れないことが大半だ。だが、この曲の場合、根底にあるものが「人には必ず一つ宝物があるから」「未来はそう 暗くない 道も言うほど狭くない」といった基本的な希望に裏打ちされている想いだからだろう。

 理想とはそう簡単に適うものではない。人生において希望を打ち砕かれたり、夢を捨てたりした経験を持たない者の方が遥かに少ないだろう。それゆえに時として「夢なんか抱かない方が幸せ、少なくとも不幸にならない。」という小知恵が脳裏を過ることがあるが、本当に根本的な希望や、何としても叶え対望みはそう簡単に消えはしない。
 そして心底価値観を共有する者同士が集い、全力で協力し合うなら、「ひとりじゃ無理だなんて たじろいでいるのなら 皆で叶えればいい さぁ CRASH & RUSH 🔥 YOUR DREAM☆」の歌詞は現実味を色濃く帯びるだろう。

 「誰かに裏切られて 傷ついている」相手に「私を信じればいい」という台詞を吐くのは、普通に考えればかなり照れ臭い。余程の自信家か思い上がり者でなければ口に出せないだろうし、中途半端な人望や実力の者が述べれば胡散臭い目で見られるだろう。
 それがこの曲において心地良く受け止められるのは、長年愛好してきた摩季ネェのへの想いもあるだろうし、摩季ネェが長く希望を与え続けてくれてきた実績があり、敗れても敗れ切れない、捨てようにも捨てられない人間の根本的希望に根差しているからであろう。
 同時にそれが現実世界においてなかなか実現出来ないのは、万人と心を開き合うこと、「まず 思いをぶつけ合おうよ」が困難だからではなかろうか?
 確かにうちの道場主も職場で心を開いて語れる人は決して多くない。本音を語っても鼻で笑われるか、馬鹿にしながら否定されるイメージしか浮かばないからである。そして周囲の人間をそう思ってしまうのは、偏に実力や人望において自分に自信が無いからに他ならない。

 本当に現状を「CRUSH」し、「DREAM」「LOVE」「RUSH」するには、困難でも心を開き、思いを出さなくてはならないことを改めてこの曲に教えられた気がする。


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令和五(2023)年一〇月六日 最終更新