大丈夫だよ

        

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 森俊之


解説 7thシングルにしてフォース・アルバム『Hello』のトップ、ベスト版アルバム『RISE Ⅰ』の7番目に収録されている。
 アルバム『Hello』はダンエモンにとって発売日に買った最初の真夜アルバムであり、そのトップの曲はかなり印象深い。
 歌詞の内容は別れからしばらくの時間を経た主人公が新たなる自己を取り戻し、自分と同様同じ辛い気持ちを抱えているであろう元恋人である「あなた」を気遣い、自分は元気でいること、そしてまたいつの日か極自然な関係で再会したい気持ちを歌ったものになっている。
 個人的な話を持ち出して恐縮だが、私は大学受験の浪人中に初恋に敗れた(実質告白した時点でふられていたようなものだったのだが…)。私の気持ちに「No」を突きつけたその人は立ち去る私に「でもがんばって大学は合格してね」と声をかけてくれた。恐らくは彼女に振られた私がそのショックを引き摺って受験に差し支え、人生を狂わすことを案じたのだろう。勿論覚悟を決めていた私はそのショックを受験に影響させることはなく、第一志望ではないもののそこそこなのある大学に合格する事が出来た。逆に成功していなければ愛した人を悩ませるところだったのでホッとしている。
 何が言いたいのかといえば、別れにしても一方的な失恋にしても思いが叶わないという要素が残る以上、その後の展開や癒すことの可能不可能は別にしてある種の無念は残る。何の未練もなく忘れられる、気にすることもなく過ごせることも結構だが、この歌のように時がたっても気遣う気持ちがあればこそ、その時の恋が風化することなく、人生の確かな一頁として記念し得る、そんな一念も大切であることをこの歌は教えてくれる。
 歌詞の内容で解説すれば、新たな生活と追想の気持ちが入り混じっているところだろう。前者は「この部屋で 新しい生活が始まる」「髪を切った 電話も変えてみた」といった歌詞に、後者は「「また行こうね」の約束 叶えられなかった」「"好きな人ができた"と 言われた時 信じられずに 困らせたの ホント ごめんね」といった歌詞に表れている。
 だが一番に注目すべきはどこまでも「あなた」を思う気持ちだろう。「時が経って 今 気づいたよ あなたの最後のやさしさ つらい思いしていたのは 私だけじゃなかった」「心の隅に 置いていてね 二人だけの思い出」「私は大丈夫だよ」、の歌詞にその気持ちが見て取れる。
 再び個人的経験を持ち出して恐縮だが、初恋に敗れて約二年後、地元の最寄駅で自分の名を呼ばれたダンエモンが振りかえると初恋の人がいた。その時彼女は私の名を呼び捨てで呼んでくれた(勿論姓の方である)。彼女と私は先輩・後輩の関係だったので、行動を供にしていた当時から姓を呼び捨てで呼ばれていた。当時親交のあった女性先輩方には私を君付けで呼ぶ人も多いが、私は呼び捨てが嬉しかった。勿論向こうから声をかけてくれたことも…。願わくばこの歌の二人にも何気ない再会を果たして欲しいものである。


真夜の間へ戻る

最終更新 令和六(2024)年五月九日