DANGLE AFTER

         作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 十川知司
解説 ファーストアルバム『SUN&MOON』の5曲目に収録。タイトルの「DANGLE AFTER」を英和辞典を引いて調べると「付きまとう」と出てきた(苦笑)。『SUN&MOON』がリリースされた1995年6月10日の段階では「ストーカー」という言葉はなかったが、今なら危なさを感じさせるタイトルである。
 もっとも「付きまとう」と言ってもストーカー的に片想いの相手の行く先行く先についていくものではなく、主人公の心に過去の思い出が付きまとっているのである。
 それゆえにこの曲の歌詞は未練たらたらで、新たな恋に踏み切れないもどかしさが目立つ。「消せないから あの人は」「二度とあんな切なさ いらない 臆病だわMY HEART ときめいても ただそれだけなの 抜け出せないの ごめん」「抱きしめられても動けない心が 悲しすぎるだけ 消せないのよ あの人を」といった歌詞はその典型だろう。
 そしてその本気になれない心が自分自身の「臆病」さにあることは主人公本人が誰より自覚している。勿論「臆病」であることを喜ぶ人間はそうそうはいないだろう。主人公もそれを克服したい、という気持ちを「本気になりたいのに」という歌詞で表し、過去から抜け出せない自分と「あなた」の胸に飛び込みたい自分との狭間で揺れ動く様は切なさや遣り切れなさを際立たせている。
 救いがあるとすれば「あなた」との中は現在進行中のもので、引きずっているものは所詮過去のものということである。歴史好きの道場主の化身ダンエモンが言うのもなんだが、過去は変えられずとも現在・未来は充分変え得るもので、人間は日々成長できるなら過去を切り捨て未来を重んじることは充分可能である。主人公にあってはいつまでも変わらぬ過去を「DANGLE AFTER」させないで欲しいものである。


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