DELIGHT

         作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 葉山たけし
解説 アルバム『U.Be Love』のトップバッターにエントリーされた曲である。影は薄いが、大好きな曲の一つである。
 よくある彼女持ちの男に惚れ、その存在に苦しみつつも自分なりの愛でアタックしようとする歌である。しかしその歌詞に嫉妬は殆ど感じられず、むしろ恋敵の魅力に対する羨望の方が色濃く現れている。「白い肌を滑る香り 少し濡れた感じのPURE LIP」「KIZENと貫く背中と SHININ'BLUE 淑女の微笑み」「どんな小さな歌も素敵に見えた 彼女の全て」「まるで子供のようにはしゃぐ横顔」等と聴いているこっちがその彼女に対して「おぉ~!」と言いたくなる描写が豊富である。
 横恋慕すると嫉妬に狂い、ついつい相手の存在の疎ましさばかりを感じがちだが、本当に大切なのは、その恋敵以上に自分が気に入られることである。相手の魅力を認めつつ、それに負けない魅力を見につけることが本来邪道である横恋慕における正当に幾らかなりとも近付ける道なのであるが、忘れやすいことである。
 ともかく、横恋慕にありながら嫉妬の見苦しさを全く感じさせないこの歌詞は、力強い曲調とも合間って、タイトルの「DELIGHT」如く輝いている。主人公は謙虚でもあり、素直でもある。自分が惚れている相手に愛されている彼女の魅力に偽りない羨望を抱き、現段階で彼女に劣っている自分を悔しがりつつも戦意を失わず、その戦意をあくまでも自分の弱さに向けている。これはできそうでなかなかできないことである。そして相手を認めつつも、戦うべき相手が自分であることを理解しているからこそ、最後に「今はまだ届かないけど いつかきっと越えられる」断言できるのだろう。ダンエモンは初めてこの曲を聴いたとき、冒頭と同じ歌詞を最後に持ってきつつ、「いつかきっと越えられる」と締めくくったところに惚れ込んだものだが、聴けば聴くほど主人公の強い決意とあくまで自分に根差した姿勢が感じられ、飽きるどころか益々その魅力を強く感じている。

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