Do it for me〜残照〜

解説　突然だが、人は恋の終わりに何を思うのだろう？絶望･失望･捲土重来･リスタート･虚無･喪失感･etc……と様々あるのは当然として、この曲の歌詞の解説を始めるに当たって踏まえたいのは、想い人と別れ(或いは振られ)、落ち着きを取り戻した所に自分自身を改めて振り返る好機があるということである。
　アルバム『HAPPINESS』の3曲目に収録されたこの曲のタイトルに使われ、歌詞の中でも繰り返し連呼される「Do it」は｢Rocks｣や「Power Of Dreams」にも歌詞を盛り上げるのに使われた短文だが、この曲では先の二曲以上に自分の為に＝｢for me｣としての要素が色濃い面に注目したい。
　背景から見てタイトルに｢残照｣という言葉があることからも、主人公は決して｢あなた｣との恋をキレイさっぱりに忘れているわけではなく、むしろその正反対とさえ言える心情にあるのがうかがえる。
　だが、「新しい恋人でもいれば少しは楽になるでしょう　だからこそ一人でいるわ　もう演じてはあげない」とあるように｢あなた｣に新しい相手ができる事に苦は感じないものの自分自身は新たな恋を(少なくとも今しばらくは)する気がない事を明らかにしている。
　それは取りも直さず、別れをきっかけに自分達の恋のあり様に疑問を覚えたからだろう「あなたが必要なものは　たぶん私じゃない　自由で居心地のいい場所きっと私も｢あなたを追いかける自分が好きだった｣の　それは愛じゃない　愛によく似た　ナルシズム」の部位がそれをよく表している。
　人間は誰しも同じ失敗をする事を恐れる。増してや恋となると失った時の心の痛みは多くは生涯引き摺る。道場主の場合は引き摺りすぎるという気がしないでもないが…………ぐえぇぇぇぇぇぇえぇえ！！(←注：道場主のジャパニーズ･ネックブリーカー･ドロップが炸裂している)。
　ゴホゴホ……それはともかく、主人公は恋がいつしか恋であって恋でなくなっていたことへの後悔も歌詞の所々で滲ませている。｢信じた未来に裏切られるせつなさ｣や｢やるせなさを思い知って｣や｢つかめない幻追いかけて歪んでく｣や｢あなたの後悔は私の誇り｣と言った歌詞がそれである。
　道場主も失恋や失職を繰り返してきたが、恋も職もその場のトラブルや逆境に直面しているとその解決と、その時その時に与えられた時間に終われ自分自身を見失いかける事が少なくない。だからこそ失敗でも人段落した時の冷静な回顧が肝要である事を思い知らされる。
　摩季ソングには珍しく過ぎた過去への回顧に終始し、未来をどうするかについて殆ど触れられていないが、「やり直すということは　やり残しがあるということ　持てる愛のすべてを　捧げた心にはもう･･･」という悲しいまでに過去を否定した歌詞も次回こそは間違いない事を求めればこそのネガティブの中のポジティブを信じたいし、人生における失敗に際してもそうありたいと考えさせられるものがこの歌の歌詞にはある事を言及して解説を締めたい。


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