FIGHT★GO☆FIGHT 〜戦え BLOODY HEART 〜feat.TAKUYA

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 AKIRA

解説 摩季ネェの14thアルバム『MUSIC MUCSLE』Disc1「FIGHTING MUSCLE」の12番目に収録されている。
 戦闘物のアニメの主題歌にそのまま使えそうなほど闘志に溢れているこの歌を、摩季ネェはデビュー25周年記念ライブにて『北●の拳』に出て来そうなキャラクター的ないで立ちをバンドメンバーと共に着込んでこの歌を熱唱した(笑)。
 タイトルに「FIGHT」の文字が含まれていることからも「FIGHTING MUSCLE」を代表する一曲と云えよう。

 ただ、タイトル・曲調もそうだが、冒頭の歌詞にも「FIGHT★GO☆FIGHT 戦えBLOODY HEART」とあるように、とかく戦意に溢れた曲である。
 この曲に歌われるまでもなく、人生は戦いに満ちている。例え戦国時代や戦時中に生まれなくても、人間が三人以上集まれば何らかの対立はある。それ故に喧嘩・競争・テスト等、で愛憎関係なしに人と争うこともあれば、家族・恩師・恋人・親友など、大切な存在だから争わなければならない時もあるし、能力に関係なく自分自身と戦うことは誰もが逃れられない。
 この曲の場合、戦うべき対象は「変わるのよ 今が、その時 RIGHT AWAY 怒りのままに 絡みつく混沌を蹴散らして」「AIに管理されBIに査定されて」と云った歌詞に見られるように、現代社会の日常に混在しているネガティブ要因のことだろう。
 同時に注目されるのが、それ等の要因がともすれば不成功の原因として責任転嫁され易い存在と云うことと、主人公がそんな無責任による人としての成長停止を振り切らんとしている姿勢だろう。

 「誰かを責めて 自分を守っても 安心は一瞬 罪悪感は一生消えない・・・ 消えない」「セクハラ、パワハラ、モワハラ、に過敏でハラハラ いっそ自分のミスもそのせいに出来ちゃうね」と云った歌詞からも、単に責任や周囲からの罵声や努力する苦しさから表面的に一時的に逃げるだけなら然して難しくはない。
 だが、どんな嘘吐き名人や凄腕詐欺師でも唯一騙すことが出来ないのが自分自身で、この曲の歌詞にも、「誰かを責めて 自分を守っても 安心は一瞬 罪悪感は一生消えない・・・ 消えない」「AIに管理されBIに査定されて 逃げ込んだSNS モラルが歪んで行く」「「一人ぼっち」に なることが怖かったけど 心から繋がってない孤独に比べれば涼しいだけ 慣れてしまう前に 一抜けたっ� GO!!★彡」といったところに主人公の隠せない本音が垣間見える。

 結局のところ、主人公は責任転嫁や刹那的な快楽には苦しみから一時的に逃れる効果はあっても、自らが望む解決を図る手段にはなり得ないことを充分に理解している。だから苦しくても「FIGHT」を思い出そうとしている。
 個人的に、そんな主人公の意が最も端的に表れている歌詞が「FIND OUT☮FIND☮ 目覚めろMY FORCE 弱さ束ねて強くなれ GET READY STAND UP!! GET STARTED!! 何も出来ずに 失くし続けるより ぶつかって 生身の友情と笑い合いたい」だと思っている。

 世の中には自分の力が及ばないことを痛感させられることが嫌という程ある。それがゆえに諦めざるを得ないことも決して少なくない。そんな悔しさから逃れたくて悔しくない振りをしたり、頭から全力を尽くさなかったり、といった経験は誰しもが多かれ少なかれ持つことだろう。
 だが、上述した様に、自分の本音は偽れない。それゆえに改めて自分の本音と向き合い、リスタートを呼び掛けるこの曲は非常に身近且つ魅力的である。そんなダンエモンの想いを最も代弁してくれている気がするのが「FIND OUT☮FIND☮ どんな勇気も 本気も出さなきゃ意味がない YES NEVER TOO LATE 取り戻すより 新しい私を極めよう 追いつけないくらい 成り上がれ JUST MY LIFE」の歌詞であることを述べてこの解説を締めたい。

 改めて、生きている限り終わりはないことを思い知らされるものである。


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令和五(2023)年二月六日 最終更新