fu・ta・ri

         作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 Tetsuji Nishigaki&岡本真夜
解説 岡本真夜にとって結婚・出産後初にして6thアルバム『Dear…』の8曲目に収録。この曲は一言で表現するならどう言えばいいんだろう?ショッピング?否、違うな…。花?…これも違う…、元カノの存在に脅える?…冒頭だけだし、そんな暗い歌じゃない、「記念日」?これじゃないかな…少々「ANNIVERSARRY」がかぶるが(苦笑)。
 背景的に見ると付き合ってちょうど1年になる主人公と「あなた」が思い出を振り返りつつ、「あなた」「私よりも長く付き合っていた」元彼女に負けない思い出を作ることを決意すると供に輝ける未来を「あなた」「好きと言ってた ガーべラ」の花で飾りたい気持ちが歌われている。
 興味深いのは主人公がライバル視しているのは「私よりも長く付き合っていた彼女」だけでなく、「ガーベラ」の花とも取れることである。根拠となる歌詞は「いつもあなたの心いっぱい 私だけになるように」である。
 主人公の心は既に「笑っちゃうぐらい あなた色に染まって」いて、「いつも私の心いっぱい あなたがあふれている」ので、「あなた」の心も同様であって欲しいと希望していると思われる。変な例え方だが、「あなたの心」を占める気持ちを「ガーべラ」の花に譲るものがあれば「一輪」しか買わないことはないだろう。「ガーベラ」の花を多少のエッセンスとして自分でいっぱいいっぱい占めたいだろうから。
 それは主人公がその気持ちを大きさだけでなく、「もしも永遠を望むのなら yesと答えるよ」という歌詞で時間的な長さとしても歌い表している事からも推察される。とにかく一つの記念日を境として何物にも負けない永遠の愛を育てようとの決意がこの曲の魅力である。そしてその様に育まれて咲いた恋はきっと「オレンジ色のガーベラ」よりも綺麗なことだろう。

 ラストに無関係な話を。ダンエモンは最初のこの曲を聞いて「ガーベラ」という単語を耳にした時、小説「ロードス島戦記」の3・4巻に登場した暗黒神ファラリスの闇司祭ガーべラを思い出し、愛欲に忠実な好色キャラと美しく咲く花とのギャップに失笑したというどうでもいい記憶を持っている。


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