ふたり

ふたり

         作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 池田大介
解説 アルバム『STOP MOTION』収録曲第6番目である。収録曲の中にあって、静かな雰囲気を湛えつつも強い意志を感じさせることにかけては直前の「風に吹かれて」に勝とも劣らない。
 歌詞の語るストーリーは、どうも二人は別れの直前にあるようだが、どういう別れなのかわからない。二度と抱き合うことのない別れなのか、相手の夢に絡む一時的な別離なのか、今一つ判然としないが、一つ確かなのは主人公の相手に対する想いが揺るぎないものである、ということである。
 主人公は出会いから現在に至るまでの思い出を回想し、別れに至るもその思い出の中で本気で生きてきた心構えを今後の人生における強さとしつつもそれに並んで逢えなくなる相手を思いやる心を並行させて思いをはせている、なるほど、二人で一つ、二人でいた思い出があるからこそ、一人が成立し、その一人が今後も二人の思いとして生きていく様はこの歌のタイトルが「ふたり」になることを納得させてくれる。
 ダンエモンが注目したいのは何と言っても最後の「思い通り 生きてほしい そんなあなた見つめたい Doorを開けて出て行く背中 そっと見送るわ」である。この歌詞から推測すると恐らくは、主人公は彼氏を追おうと思えば追えたのだろう。しかし自分が付いて行くことが相手の夢の達成に対して足手まといになるのを恐れて、敢えてその場にとどまったことが推測される。そして「見送る」ことは「見守る」ことと同義語なのだろう、この歌の場合。追いかけることと見送ることのどちらが正しい選択なのかは一概には言えないが、大切なのは決断する為の強い意志であり、この歌にはその強さが歌詞の随所から感じられる。
 続編があるなら彼氏が夢を叶え、主人公の元に戻ってきて欲しいと願うのはダンエモンだけではあるまい。

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