ガラスの月

作詞 椎名恵 作曲 羽場仁志 編曲 戸塚修
解説 椎名恵さんの9枚目にして同名のアルバム『ガラスの月』の6曲目に収録されている。彼氏持ちでありながら忘れられて孤独の誕生日を過ごす寂しさを描いた曲で、似た曲を探すと「それから、受話器を置いた」がいの一番に挙げられるだろう。
 この曲に出てくる「あなた」はダンエモンには少々理解できない。「束縛はしない いつだって言うけど 無関心なだけ」「来るはずの電話 真夜中を過ぎても 鳴ることを知らない」「恋なんてあなたには ささやかなものなの」といった歌詞を見るとおおよそ、この「あなた」には温かみが感じられない。
 とはいうものの主人公はべた惚れの様で、それを最も表している歌詞は「サヨナラを私から 言えばきっと上手に つなぎとめてしまうでしょう 悔しいのに愛してる」であろう。恋愛が惚れた者の負けである事がよくわかる歌詞である。
 さてこの曲のタイトルは「ガラスの月」な訳だが、「ガラス」「頼りない」絆の、「月」「あなたに見え」てしまう鏡の象徴だろう。同アルバムの歌詞カードには「くだらないしがらみも嘘の言い訳も ガラスの月に照らされて、とりあえずの夜が綺麗だわ。」という一文がある。
 この一文を要約するにはダンエモンは些か椎名さんへの考察が不足しているのだが、本来美しさを愛でる「月」の淡き光に主人公は何を求めているのだろう?と考えさせられる。
 個人的に「あなた」は気に食わないタイプの男だが、主人公の寂しくも「あなた」を忘れられない姿(「それから、受話器を置いた」とはその意味で対照的である)にも「ガラス」とダイヤに「月」を太陽に例えられる喜びを掴む事が願われて止まない。


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