月曜と雨の日は

         作詞 麻生圭子 作曲 TSUKASA 編曲 戸塚修
解説 椎名恵さんのフォースアルバム『29〜Twenty nine ダブルコンチェルト』の3曲目に収録。曲の感じからは何となく気だるさを感じる曲だが、歌詞を上っ面しか見ていないとそれで終わってしまう。
 背景を見ると仕事の始まった「月曜」に降る雨が遠い週末と遊び疲れた体の憂鬱に拍車を駆け、恋人との接し方を一歩進めてみる決意が書かれている。
 注目したいのは主人公が恋人を「彼(あいつ)」と呼んでいることである。たいていが「あなた」と呼称しているのが、この曲では「彼(あいつ)」とするので、最初の「今夜は彼に会うのもいいな」だけを見ると「彼」がただの男友達にも見えてしまう。何せ「夕食どうかと 誘った友達に 約束あるのと パスをされた」後なので「彼」は友達(恐らく同性)よりワンランク下にさえ見える(笑)。
 ところが次に「彼」が出てくるときには「彼が望めば結婚というのも 今なら悪くないと Ah 考えたり」となるのである。そう考えると「あなた」という歌詞では恋人に敬意を表して接することの多い椎名ソングでは珍しい、「彼(あいつ)」は友達の延長から愛し合うようになった親近感が何とも新鮮である。そんな仲だからこそ暇な時に敢えて積極的に会おうという風にはならないのではあるまいか?
 前述したが、「やっぱりやめたわ 何だか疲れてる」「ラッシュに押されて ため息つく」という歌詞だけを見るとOLの疲れだけを書いたみたいだが、逆を言えば「満ちたりているのに」かえって変化のない日常や目的のない現実だからこそ「結婚というのも 今なら悪くない」「生きる意味を捜してる」という風に考えるようになっているところを注目すべきだろう。
 自然と屋外での行動が制限される「月曜と雨の日は」人に何かを考えさせる作用があるのかもしれない。


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