銀色の週末

         作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 小川知司
解説 アルバム『Pureness』のトリである10曲目に収録されているこの曲は、後になって9thシングル「Everlasting」のC/W曲なる、という通常とは逆の経緯を辿っているが、何故そうなったかは大体の予想はついている。
 またベストアルバム『My Favorites』の10曲目にはシングル同様、アンビエント・バージョンが収録されている。

 シングル収録はambient versionで編曲は森俊之氏であるのだが、「Everlasting」の歌詞は「My heart is longing for you」 (私の心はあなたに焦がれている)で始まるのだが、この「銀色の週末」もまた歌詞カードには書かれていないもののバックコーラスが冒頭で同じ歌詞を歌っている。まずこの関連と見て間違いはあるまい。粋な計らいである。
 何とも主人公のいじらしさを感じる曲である。「改札で待ってた 家で待ちきれなくて 一秒でも早く あなたに会いたくて」なんて態度を取られるとダンエモンでも「冷えきった頬に触れて 「バカだな」って しか」りたくなる。勿論言葉・「冷えきった頬」とは裏腹な暖かいものを感じながらである。
 概して真夜ソングにはキス以上の艶かしい表現が見られない一方で、プラトニックな表現、側にいたい気持ち、一挙手一投足の裏にある感情の描写が豊かである。この歌はその典型といえるだろう。週末の駅で二人が出会った後も、何をしたかよりもどういう気持ちでいたかに歌詞の内容が割かれている。
 「定期入れの中の写真 今日は必要ないの」という歌詞は文字通り「必要のないもの」、しかし普段は「あなた」の代わりに必要なものが敢えて歌詞の中に出てくるところは見落とせない。
 更にいじらしさという点でもう一つ触れておきたいのは「また次に 会える日まで このぬくもり 覚えておこう」である。今あったばかりでまだ別れてもいないのにもう次に会う日のことを考えているのである。ラストの「離さないでね 離さないから 離れないでね」に繋がるのも妙に納得が出来る。
 この余韻の響く様も真夜ソングの魅力であることを触れてこの解説を締めよう。


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平成二三(2011)年三月八日 最終更新