午後10時からの不在

         作詞 麻生圭子 作曲 椎名恵 編曲 戸塚修
解説 身も蓋もない言い方をすれば不倫の歌なのだが、単純な裏切りの歌ではない。この椎名ソングの中で異彩を放つ歌はサードアルバム『W CONCERTO』の4番目と、15thアルバム『S』の8番目に収録されているいて、道場主はシングルコレクションアルバムでもこの曲を所持しているが、同アルバム歌詞カードによると6thシングル「THE WIND」のC/W曲の様である。
 何とも変わった曲である。主人公は「あなた」を愛するがゆえにたの男と接触すると言うのである。勿論通常の神経では理解できない。何とか理解できるのは「冷たいだけの胸が私をホッとさせる 比べることで あなたへの愛を 確かめている」ぐらいだがそれとて正論とは認め難い。
 椎名ソングには不倫を歌ったものに「陥ちたMoral」という歌があるが様相はかなり異なる。何故に「愛に罪が欲しいだけ」とか「何か焦燥 感じるの」のか?主人公は決して自分の主張が「身勝手な理屈だとわかってい」ないわけではないのである。「あなた」が自分の背徳を知った際に苦しむであろうことも理解しているし、不倫の相手そのものにはさしたる執着もないのである。大変不可解である。勿論「あなた」と別れたいなんて毛頭考えてはいない。
 人間何もないと苦痛であっても刺激を求める、ということなのだろうか?否、それは上辺の問題だろう。寂しさや背徳への罪悪感を敢えて実感することで「あなた」との愛の尊さを実感したい、というのがダンエモンが無理矢理考えた結論なのだがどうだろう?
 ダンエモンがこの「あなた」の立場だったら主人公の行為に対してどういう対応をするか空恐ろしい。ファンとしては椎名ソングの真意は理解したい。愛する人にこんな行為を取らせない為にも。


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