激しい雨が

         作詞 森山達也 作曲 THE MODS 編曲 大黒摩季とフレンズ
解説 大黒摩季さんがボーカル、建部聡志氏がキーボード、真矢氏(LUNA SEA)がドラムス、恩田快人氏がバス、土谷公平氏がギター担当のバンド−大黒摩季とフレンズのアルバム『COPY BAND GENERATION VOL.1』の2曲目に収録。
 摩季さんの公式HP「Mドライブ」他から得た情報によると作曲にある「THE MODS」が歌う曲らしいが、はっきり言って全然知らん(苦笑)。勿論曲そのものもアルバム『COPY BAND GENERATION VOL.1』を買う事で初めて知った。
 無知を言い訳しても始まらないので、感じたままを解説するが、この曲の歌詞から感じるのは歌い手の「飢え」である。何に飢えているのかと言うと「変化」だろう。
 日常の満たされなさは「変わらない毎日」を嫌うことに表れているが、それでなくても「行くあてなくただ漂う 壁の中のジプシーたち」「わけが分からず TVがただ騒さくひびく 昨日のニュース」といった歌詞に執着する様に現実という名の「壁」が表れている。  極論を言えば変化を求めていない人間は殆どいないのでは?という気がする。それは人間が多かれ少なかれ夢や理想を持つからであって、全くの不変を求める人と言えば、余程現状に満足しているか、余程全ての変化を悪い方にしか考えられない人ではないか、とダンエモンは思ってしまうのだが。
 しかしながら、理想通りの変化は容易ではない。それを為すべく最大限の努力をする為にも厳しい環境なり、強い信念なり、飽くなき邁進力なり、とにかく強い何か−身も蓋もない例えをするならケツを蹴飛ばしてくれるもの−がないと、独力では至難である。
 そんな人間の弱さを、しかしながらそれを直視し、理想や夢に向かっての変化を求め、自らを追い込む要因として求めている姿を比喩したものが「激しい雨が 俺を洗う 激しい風が 俺を運ぶ 激しいビートが俺に叫ぶ 何もかも 変わり始める」であり、それが「激しい雨 もっと強く振りつけろ 乾いた喉 空っぽのこの街に 激しい風 もっと強く吹きつけろ 過ぎて行く今を 子守歌みたいに」と、命令形に変じている事も見逃してはならない。
 牛馬の様に鞭打たれて初めて動くのは人としていカッコいいものではない。しかしながら心なり、環境なりに「激しい」何かがないとなかなか人は動けないものである。この歌を他力本願と捉えるか、何もかもをかなぐり捨てて目標への強い思いを示したものと見るかで感じる重みは大きく異なるだろう。
 最後に、男の立場で歌われるこの歌の詞は一人称を「俺」としているが、力強い歌唱の摩季さんには男の立場で歌う時にはやはり「俺」と称してくれる方がダンエモンは嬉しい。

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