Happiness

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 AKIRA NISHIHIRA
解説 「リーマンブルース」が大黒摩季さんのアルバム『HAPPINESS』収録版「運命なんかクソ食らえ−RUNAWAY BLOOD−」なら、アルバムと同名にして13曲目に収録されているこの「Happiness」『HAPPINESS』収録版「ROCKs」と言えようか。
 勿論曲のノリは「Rocks」とは丸で異なる。だが歌詞の内容を追うと「Rocks」が動ならこの「Happiness」は静である事がよく分かる。最初に注目したいのは「I wanna be happy」「I must be happy」に変わる事である。幸せになりたい、から幸せに違いない、という希望から確信への変化が微笑ましい。
 そもそも、冒頭に「幸せはひとつじゃないから まだまだ 私 走り続けるよ'cause I wanna be happy」とあるように、幸せの形もパターンも一つではなく、愛情・友情・金銭・社会的地位・学歴・環境・趣味・権力・etcと、幸せを形成する要因は多々あるが、それらの内一つに極端に恵まれているからと言って必ずしも幸せとは言えないし、ないからといって不幸とも限らない。一言で言い切ってしまうなら心の持ち様と言える。
 次に流れで歌詞を追って見てみたいが、「たった一個の愛を探して 相当自分も作り変えて 冷めたフリでも明日を信じて ギリギリここまで生きてきたから 愛を誓い合った瞬間 張り詰めていた糸がぷつんと切れて しがみつき疲れた仕事 もういいかもねって思ったけど…」から主人公はかなり(精神的に)余裕のない日常の果てに一つの出会いを果たしている事がうかがえる。辛さを伴う日常、言い帰れば暗いマンネリズムは少々痛くても何かの変化を求めたくなる気持ちはダンエモンにもよく分かる。
 続く、「あなただけを見つめてるとI'm afraid of my mind しょうもないことに悩んで自己嫌悪で自家中毒 平和の中で持て余すパワーで あなたをも焼き殺してしまいそう・・・…(-.-;)」の一見物騒に見える歌詞を見るとあんた相手に何求めているの?と疑問を浴びせたくなるが、更に続く「わかったの! I'm gonna be happy×2 愛が見つかったからといって 私の人生 何ひとつ決着ついてないってこと(‐.‐)? I'm gonna be happy×2 イイこと言ってソノ気にさせて ごめんねDarlin'(^。^;)欲張りだよね(・。・)でも 自分を好きでいいんだ 約束するよ\w^0^w/ 割り増しのHapponess」とあるところに、独立独歩、自らの願望を否定せず,自分は自分で相手も自分も好きであることの大切さを説く大黒摩季イズムの真骨頂の再認識に「わかったの!」の一言が言葉以上の重みを持つ。
 ここまで歌詞を追うと2番も微に入り、細に穿たないとな(笑)。2番は「二人で一つを分け合って つつましく暮らすのも素敵だけど ブランドの新作も欲しい ちょっとは"広い"一戸建ても欲しい 思えばあの不幸感は いつも何かを求めてたHungry spirit 目標のない憧れは 常温で腐ってくフルーツのよう」と始まるが、ここには満たされる事を知って始まる次なる欲望と、その一方で現状に甘んじると成長がなく、衰退が始まるだけでしかない事を如何にも摩季さんらしく歌われている。
 続く、「愛の名の下に女はやること2倍(@。@-) 完璧を目指せば寝不足覚悟でもう5倍(=@。@=-) 自分投げ捨てて尽くしてほっとかれたら いつかあなたを恨んでしまいそう(‐.‐;)」とは一見すると愛する事と日常の両立に対する疲れを滲ませている様に取れそうだが、そこにこそ「気づいたの!」で始まる後続の歌詞が映えてくる!
 「I must be happy×2 ひとりぼっちのあの頃はそう 悲しいほど自由で誰かのものっていう 不自由に憧れてたんだ I must be happy×2 どっちかなんてやっぱり嫌だ〜(T。T) 頑張れば願いは叶うって胸を張って 言えるママになりたいんだ 私を生きる もう一つのHappiness」からも自由を失って尚その不自由を喜べる、なくした自由とは異なる喜びをもたらす「Happiness」が如何に尊く、これからの人生に欠かせないものであるかを教えられる。
 人生には好むと好まざると変化があり、そこに失われる物と新たに得られる物があるから「私を生きる もう一つのHappiness」という新しい事に前向きになる気持ちを常に持ち続けたいものである。
 自らの欲と自らを犠牲にしてでも相手に尽くしたい気持ち、自由が持つ幸せと不自由をしてでもともにいたい喜び、そしてそれらが上手くいく時といかない時を認識して、その時々にどうあるかを踏まえてこそ「あなたにピースをあげられる私でいたいんだ 約束するよ極上の\w^0^w/Happoness」と胸を張って愛する人に宣言できる恋人であれる、とダンエモンは考える。
 そんな「Happiness」を手に入れられるかどうかは金や能力よりも「wanna be happy」「must be happy」と信じる心の持ち様にある。この解説を通じてそんな「Happiness」の在り様を摩季ファン仲間に伝える事が出来ればファンとして、解説者として、楽曲房案内人としてこれにすぐる喜びはない。


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