光 その先へ(SPARKLE ver.)

作詞 大黒摩季&M’DRIVERS 作曲 大黒摩季&M’DRIVERS

解説 摩季ネェのデビュー30周年記念ベストアルバム『SPARKLE』Disc.1「New Songs」の、事実上のトリである13番目に収録されている。
 同アルバム収録曲の中でも、「SPARKLE」、「Sing」と並んでアルバムの根幹を為す曲であるととともに、摩季ネェのデビュー30周年を記念した、摩季ネェとファンクラブ・M’DRIVEとの共作とも云える作である。

 歌詞内容の概要を語れば、先行きの見えない世界情勢の中、夢も希望も抱き辛い昨今だからこそ、独力で不可能なら皆で集い、願い、未来と云った「光」を掴もう、取り戻そう、というものである(←大雑把過ぎるかな?)。
 哀しい話だが、世界が平和・経済・政治が先行き不透明なのは人類の歴史そのもので、且つ昨今の不透明度は特に酷く、その有様は「今 世界は ずっと 止まっている 時や願いを封じ込める THE WAR & LOCKDOWN」の歌詞で簡単に触れられているが、簡単なのはくどくど説明する必要がない程誰の目にも明らかだからだろう。

 勿論そんな嘆きの言葉が出て来るのは誰もがそれを嫌だと思っている訳で、満足していれば言及の必要はない(苦笑)。直後に「でも 私達 まだ終われない」と在る様に、現状打破を志しているし、何より諦めていないと云うことを簡単な言葉で見事に表現されているのがMドライバーらしい(笑)。
 2番にも「どんな運命も 重い責任も 背負い続けて 道を狭めるアルゴリズム きっと誰だって 楽には生きられない」とあるが、背負っているものが重かったり、果たさなければならないことが多かったりするほど、ミスが許されない故にその方法=「アルゴリズム」は限られてくる。勿論選択の自由はあるが、ミスを恐れれば恐れるほど冒険は避けられがちで、既存の無難な道を選ぶことで選択肢は狭められる。

 そんな現実は誰しもが経験し、思い悩むところだが、Mドライバーズにとって、それと動相対するかの答えは摩季ネェファンになった瞬間から決まっていることだろう。
 「愛を燃やせFORCEで繋がるんだ 夢を語れ GET UP! GO UP!! 時代に奪われたぬくもりを とり返せ」や「ならば私達 笑い飛ばしていこう BUDDIES IN LOVE 信じて 広げて 心は自由でいようよ 理想を束ね LET’S JUMP JUMP!!」の歌詞にある様に、希望・理想・笑顔を忘れず、失ったものや奪われたものは取り戻すか、新たに生み出すまでで、まあ、これは摩季ネェファンならずとも、何としても叶えたい望みの前には誰しもが心掛けることだろう。

 だが、その戦いは容易ではない。その理由は孤独な闘いだからである。本来夢も希望もまずは自分だけのもので(内容によっては誰かと共有するケースもあるが)、自分が為さねば結果は生まれないし、得た結果に一番嬉しいのは自分である。故に孤軍奮闘となるケースが多い訳だが、たった一人の戦いとは辛いものである。
「WE ARE ALONE 滲む孤独に もう 怯えなくていい 揺ぎ無い歌の中で」とある様に、複数形である「WE」と、孤独を意味する「ALONE」という矛盾する単語が共に出て来るのも、そんな戦いが誰もが経験することで、想いが同じであることが歌われ、それ故に「滲む孤独に もう 怯えなくていい」と繋がるのである。

 そしてこの歌が主張する、解決手段が、「歌」と「ひとつになれ」である。
 自力や独力が及ばないことでも力を合わせることが可能なことは世にごまんとある。普段、群れることが嫌いと公言するダンエモンも、烏合の衆や衆愚を嫌うだけで、同じ目的や価値観を完全に共有する仲間との集いまで否定している訳ではないし、それは大いに望むところである。
 そして日常において住むところも、従事する仕事も、身を置く家庭や交友関係も異なるMドライバーたちが「ひとつにな」る媒介が摩季ソングであることは、ここまで論述すればだれの目にも明らかだろうし、摩季ファンには云うまでもないことだろう。

 興味深いのは「所詮、仲間なんて絵空事 誰も信じなかった少女の頃 アースシェイカーの“MORE” レベッカくれた“MAYBE TOMORROW” 言葉いらないBAND 音楽はBOND 家族みたいなSOUND 「好き」だけで繋がるBIG HOUND」の歌詞で、これは恐らく摩季ネェの過去を暗に語ったものだろう。
 どんな親しい間柄でも、愛し合う関係でも一人の人間が別の人間を徹頭徹尾信じるのは困難である。そして信じる気持ちが強ければ強い程、それに不信を抱いた時の痛みはより大きくなる。摩季ネェにも人生や生業において対人関係や人間不信に苦しんだことはあるだろう。
 そして摩季ネェがその都度立ち直って来た要因の一つに出逢ってきた音楽があるのだろう。恥ずかしながらダンエモンは歌詞中に出て来た名曲を知らないのだが、出逢った曲に励まされた記憶は間違いなく存在する(でなければこんなサイトを作らない(笑))。

 そんな数々の記憶や想いを受けて、サビである「WE ARE THE ONE ひとつになれ 一人じゃ 届かないから 手を繋ぎ 手を伸ばして 光 その先へ」の歌詞がある訳だが、これは一人じゃ何も出来ないから群れて頼り合おうという物では、当然、ない。
 同じ想いを共有する仲間が集い、心から繋がり合うことで大いなる力を出し得て、それが輝かしい未来である「光 その先」が生まれることを歌っているのである。

 勿論、馴れ合いや、互いが互いを頼り合う群れでは、船頭多くして船山に登るのが落ちである。一人一人が強い信念、大いなる希望、独立独歩にて全力を尽くす意思が集まってこそ、1+1が5にも10にも100にもなるのである。
 それ故に、ダンエモン的にこの曲の最も好きな歌詞は「絶対 変えてやる 未来」であることを述べて、この解説を閉めたい。


摩季の間へ戻る

令和八(2026)年九月一一日 最終更新