星の夜

         作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 小川知司
解説 アルバム『Pureness』の4曲目に収録。一言で表現するなら「夢見る少女」的な一曲である。だが、その背景に花びらが舞っているような爽やかな曲調の中に潜んだ嫉妬深さをダンエモンは見逃してはいない(笑)。嫉妬人間は嫉妬人間を知ると行った所である(←それをいうなら「英雄は英雄を知る」だろうが、それに全然自慢になってないぞby道場主)。
 身も蓋もない表現で解説すれば、ある夜たまたま眠れなかった主人公が空想を楽しんでラブレターというものを作ろうとするが、その膨らむ夢想の中で勝手にときめいたり、嫉妬に狂ったりして一人恥ずかしがっているだけ、という歌である。ある意味深刻さも現実問題も無縁の世界である。
 だが、本来歌とはそういうもの、というの言い過ぎだろうか?勿論実体験そのものやそれに基づく思考から生まれる歌もあるが、希望や願望、赤裸々な気持ちから生まれる空想的なものも少なくない。敢えて眠れぬ世の空想のラブレターを題材としているこの歌は夢見る少女の原点であり、明らかに後者の典型である。
 さて、冒頭に触れた嫉妬だが、眠れぬ夜に眠れる恋人の夢を連想した主人公は「他の女の子が 出てたら 絶好なんだから!」と夢の中にまで干渉したい気持ちを表しているのは曲調が爽やかなだけに女の恐ろしさが裏に秘められているような気がして仕方なかった。かつてダンエモンも愛する人が他の男と仲良くする姿に笑顔で接し、無理に笑顔を作らなければならなかったこそその余裕顔作りが完璧であれば完璧であるほど秘めた嫉妬の炎の大きさを感じずに入られず、その醜さに激しい自己嫌悪に陥った記憶がある。逆に日常生活にそんな嫉妬深い姿を見せられないからこそ空想の中でそう居丈高になるのだろうか?
 眠れぬ夜にわざわざ愛を語り言葉を綴ろうとするほどの大切な相手でありながら、主人公の「あなた」に対する態度は居丈高である。「ぼさぼさの髪」「時々 子供っぽい 表情」「あなたみたいな 自分勝手な人 めんどうみれるのは 私ぐらいしかいない」等と、一見すれば馬鹿にしているのか?とすら思える内容であるが、主人公はそんな「あなた」に対して「大好き」「あなたに守られたい 私もあなたの事 守ってあげたい」と呼びかけている。よくわからない態度である。
 結論としてこの歌は幸せな歌である。何だかんだ言って主人公は「あなた」にベタ惚れで長所も欠点もそのすべての接触を愛の一環として楽しんでいるのである。恐らく気恥ずかしい気持ちも本人には喜びなのだろう。
 実際に目の前にこういう女がいて、こんな気持ちを吐露されたら「勝手にやってなさい。」と苦笑いすることだろう。だがここまで夢見る気持ちをマイペースに語れる様は羨むべきものとも言える。


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