星の夜も 雨の朝も

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 西垣哲二&岡本真夜

解説 岡本真夜さんの10thアルバム『Close To You』の4曲目に収録。なかなか「いつも一緒に」いることが叶わない寂しさが曲調に漂う中にも一途な想いが貫かれる様が心地いい一曲である。

 正直、曲調はかなり暗く、数ある真夜ソングの中でこの曲がいの一番の人気を誇ったり、ライブでイントロが流れた途端に絶叫が起こったりするとは考え難い(苦笑)。しかし、目立たずとも根強い人気を得るのはこのような曲だろう。

 前述したようにこの曲の最大の魅力は一途さである。
 それを表す一押しの歌詞は「幸せになれるなら あなたとがいい」だろう。推測するに、「いつも一緒にいられたらいいね 募る想いが切なさに変わる」「ひとつになれるのなら あなたのもとへ すぐに飛んで行きたいのに」の歌詞から、主人公と「あなた」は距離もあり、事情あってそう簡単には供に在れそうにないことが窺える。
 そんな中にあって、相手が「あなた」でなければ「幸せ」さえ望まない一途さは切なくも、芯の強さが併存する様は言葉で表し切れないものがある。

 ジャイアン並みの音痴男であるダンエモンは普段ほとんど曲調について(自身が無いから)触れないのだが、この「星の夜も 雨の朝も」に関しては「いつも一緒にいられたらいいね」に続く、「募る想いが切なさに変わる」が歌詞通りに曲調までもが静かな高鳴りをもって想いの募る様とのマッチングしているところにも得も言えぬものがある。

 主人公が簡単には「あなた」とともに在れないことは容易に推測出来るが、このような場合、得てして「幸せ」を共有する、誤解を恐れずいれば都合の良いシチュエーションばかりを想像しがちだが、「悲しみに出会うたび 居てほしいのは いつも 一人しかいないから」とあるところに悲しい境遇にも供にある所に主人公の真剣さが窺えるし、ラストで殆ど同じ歌詞に見えて「悲しみに出会うたび 居てほしいのは いつも あなたしかいないから」と、「一人」「あなた」とさりげなく明かされている点にもその想いの強さが上手く重ねられている気がする。

 決して明るい曲調ではないこの曲がさらりとした声の中に侵し難い、貫き通すような強さを保つ心地良さに、架空の世界ながら、「夢見て」が早く現実なって欲しいと願われてしまうものである。


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平成二三(2011)年五月二七日 最終更新