百年の恋

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 西垣哲二

解説 岡本真夜さんの6thミニアルバム『Happy Days』の4曲目に収録。最初この「百年の恋」というタイトルを見た時は、「大きく出たな……。」と思ったものである(笑)。

 一言で云えば出逢いに感謝しているという曲である。
 真夜ソングによくある傾向だが、この曲の主人公も「あなた」に出逢うまでは不幸な状態にあったのだろう。「もしあの日あの時 出逢わなければ きっと今 私は泣いてた」とあることから、出逢った直前のみならず、それまでの経歴も決して幸福とは云えないものだったのだろう。
 国語的に云えば、「「百年の恋」も冷める。」という慣用句がある様に、「百年の恋」という言葉に熱烈でも無くなってしまうイメージを抱いている方々も多いと思われるが、この曲はさに非ず。逆に「百年先にきっと恋をする」と云い切り、例え出逢ってなかったとしても恋心を抱き続けることを断言している。

 ダンエモンが注目するこの曲の特徴は2つ。
 1つは主人公にとって「あなた」が如何にかけがえのない存在となっているかという想いの強さである。
 冒頭の「振り向けばいつもあなたが笑ってた 昔からそこに居たように」の歌詞に代表されるように、「あなた」が現在のみならず、未来、そしてまだ出逢ってなかった筈の過去にすら共に在り続けているかのように歌い上げている訳で、それだけ主人公の中に「あなた」は浸透しているのであろう。
 それだけ主人公に取って「幾億も輝く星の中で よく出逢えたね 二人」と歌う程奇跡的且つ、かけがえのないものなのだろう。そんな二人が共に在る時間は、「ひとつずつ季節を通り過ぎるたびに 思い出が刻まれてゆく」「振り向けばいつもあなたが笑ってる 明日も私の側にいて」とある様に、側にいるだけで幸せが充実しているのだろう。「どこかに置いてきた 人を信じること 教えてくれたのはあなた」と歌詞にあるのも頷けるものが有る。

 もう1つ注目点は曲調の大人しさに隠れがちなようでも確実に存在する情熱性である。
「素直になる怖さは なくなったわけじゃないけど 察してくれる優しい腕の中 もたれてみるの」「涙が溢れる想いをいつでも あなたが包んでくれるように 見せない悲しみや不安があるなら 半分でも私に触れさせて」とある様に、自分自身の弱さをかなり曝け出し、そのまんまの姿で「あなた」に飛び込み、ただ甘えるだけでなく相手の苦しみも共にせんとの姿勢が心地いい。

 出逢いに対して、「つらかったあの恋も 悲しかった出来事も いつか二人が こうして逢うために涙だったの・・・?」と振り返り、「幾億も輝く星の中で よく出逢えたね 二人」と断じ、最後の最後に「もしあの日あの時 出逢えなくても 百年先にきっと恋をする」と、出逢ってなかったとしての仮定にすら想いを断言する………世にこれ程理想的且つ羨ましい出逢いはそうそうないだろうと思わせる一方で、そんな出逢いへの期待を持たせてくれる一曲である。


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令和六(2024)年四月一九日 最終更新