作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季
解説 アルバム『POSITIVE SPIRAL』の初回特典DVDに同アルバムのボーナストラック3つ目にしてして真のトリである。
収録曲として極めて珍しい形態で、モノクロ映像でピアノを前にして即興による作詞・作曲が収録されていて(当然アレンジはない)、その後に歌われてる。
道場主はかつて作詞作曲を一度だけ行ったことがある(当の本人が詞・曲ともに全く覚えていない上に、贈った相手に嘲笑された駄作だった……)が、
歌詞の内容は母親=「ママ」をメインに大黒摩季を大黒摩季ならしめるすべての存在(推測だが、スタッフ・ファン・作詞作曲編曲関連者・身内をメインとした人生過程で出会った全ての存在)への感謝が溢れている。その想いは詞の構成のみならず、作詞・作曲過程でも露わだった。
歌詞でそれが最も表れているのは「ちっぽけなアタシ大黒摩季にしてくれて ありがとう 心から 心から ありがとう」であるのは多くの方に異論のないところだろう。
個人的に些か残念なのは「今日はレコーディングの合間で本当は 心もカラダもヘロヘロで でも不思議 音で癒えてゆくの」がいまいち理解できないところである。
誤解ないよう申し上げておくが、もちろんこれは非難でも批判でもなく、理屈では完全に理解できるが、ダンエモン自身の実感が乏しいという意味である。偏に曲よりも詞に重きを置いて楽曲を堪能してきた日々が影響しているに過ぎない。つまりは曲を理解する能力が乏しいことを遺憾に思う訳である(苦笑)。
この解説を書いている時点(2008年4月11日)より2ヶ月前に道場主の妹が男の子を出産し、妹から母になり、我が子を慈しむ姿を見ていると、「守るものを見つけて少しだけ痛みがわかったよ」の歌詞の意味が分かった気がするが、これは能力のあるなしではなく、人生経験による様々な変化を通さなくてはなかなかわかるものではないと思う。
だからこそ人間は成長し続けなければならないし、成長し続け得る存在とも思う。摩季さんが「3つの時」からピアノを弾いてきたことは知っていたが、恐らくは30年以上の間、その時の心情・立場・性格・思想を反映して、ピアノの音は同じ音であってもその時その時違う音を奏でて来たと思われる。
そしてそれこそが人間の生きている証で、「生かされているんだね」ということなのだろう。
そういった家庭で人間が認識しなければいけないことでありながらついつい忘れがちな概念が「ありがとう」で、感謝の気持ちに気付いた時に感謝したい相手が側にいるとは限らないことからも、人生には「言えなかった「ありがとう」」が実に多いことを思い知らされた物である。
摩季の間へ戻る 平成二〇(2008)年四月一一日 最終更新