if…

作詞 岡本真夜 作曲 岡本真夜 編曲 岡本真夜&西垣哲二

解説 岡本真夜さんの11thアルバム『Tomorrow』の8曲目に収録。少しかすれ気味に歌われる曲調とラストの歌詞が「Will…〜未来へのプレゼント」を彷彿とさせる一曲である。

 タイトル「if…」と同じ単語は歌詞中に出てこないが、同意の日本語である「もし」は頻出する。
 そして主人公が「もし」と投げ掛けるの何年も前に別れたであろう思い人に対する再会への願いである。主人公には付き合っている時に伝え損ねた事があるしく、単に再会を望むだけでなく、再会に当たって「もし 許されるのなら あの時言えなかった言葉 まっすぐ 目を反らさず あなたに伝えたい」という望みを繰り返している。
 殊に「まっすぐ 目を反らさず」の歌詞は「Destiny」も彷彿とさせてくれる。

 ここからは推測でしかないのだが、「些細な誤解と意地の張り合いで 素直になれず 背を向けた 雪の夜」「もっと あなたのこと 解ってあげればよかった 後悔だけが あの日から ずっと消えないでいる」の歌詞からは、別れの原因は本来なら取るに足らないことだったのだろう。何より「二人 過ごした思い出が 今も胸に」「ずっと 泣かないように 空を見上げてきた どんな雨の日も どんな寒い夜も あなたを想って…」「もし 二人の気持ちが もし 今も同じ場所にいるのなら きっと いつかまた会える」の歌詞から主人公は別れを悔やんでおり、愛情が変わっていないことは明白である。

 そんな想いの丈を絞り出すように吐露したのがラストの「“愛してる”」の歌詞である訳だが、この終わり方は前述したように「Will…〜未来へのプレゼント」と同じもので、ダンエモンはファンになる直前にこの曲を知り、絞り出すようにかすれ気味の声で歌われた「“愛してる”」に背筋がゾクゾクするような衝撃に捉われたのを昨日の事のように覚えている。

 真夜ソングの中には「サヨナラ」「Tears」「One Room」「Destiny」といった曲にあるように、本当は愛しているのに何処か意地を張ったり、妙な諦観に取りつかれたりして行動を移さない主人公が見当たることがある。

正直、イライラする。


 誤解無いよう申し上げたいが、ダンエモンはこれらの曲が嫌いでイライラするのではない。ダンエモンが主人公だったら絶対立ち止まっていないからである(それが正しいかどうかは不明だが)。つまりは主人公達に感情移入するからイライラする訳であって、本音では主人公を応援したいのである。
 自慢ではないが、ダンエモンは今まで惚れて告白しなかったことはない。自分の気持ちがはっきりしている以上、それをぶつけず、結論を出さず引き下がることが出来ないからで、行動の結果、相手に不快の念を与えたり、こっちが惨めな想いをしたりしてばかりなので、正しい生き方との断言はできないが、少なくとも真夜ソングの主人公達には「素直」さを欠いたが為の後悔はして欲しくないし、引き摺ったらなら引きずったで決着をつけられることを願ってしまう………………こういうのを「同病相哀れむ」というのかな?(苦笑)。


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平成二四(2012)年一一月二〇日 最終更新