I'm in a hurry
解説 椎名恵さんの16thアルバム『Tell me』の7曲目に収録されている。いちいち訳すほどのこともないとは思うが、日本語の意味は「私は急いでいる」であるが、何か情緒がない(苦笑)。
逆境に立ち向かう心の強さを与えてくれる同アルバム収録曲の中では、真実と向き合う強さを見せてくれるという意味で異色的存在である。殊に「あなたのRealなんて 一瞬じゃない!」といわれれば心にグサリと来る方々も多いと思われる。そしてそれは恋愛に限った話ではないと思われる。
とかく歌詞中に溢れているのは何でもかんでも全てに正面からぶつかって戦わんと言いたげな闘争心である。「愛してるなんて言葉を 簡単に言わないで」、「まっすぐに見てよ」、「心が知りたいだけ」、「愛でも憎しみでも 私に投げかけてよ」といった歌詞には真実を知りたい!偽りを許さない!という意志が漲っている。
そしてそれを証明するかのように「本当はやさしさを 誰も欲しいはずだよ」、「一人じゃ抜け出せない 孤独から」、「よけい傷つくから」という風に人間誰しも持つ弱さ、主人公自身も例外ではないという現実とも向き合っているのが秀逸である。
こうして見てみるとこの曲のタイトルが何ゆえに「I'm in a hurry」なのかがわかる気がする。推測でしかないが、恐らくは主人公も「やさしさ」に甘え「孤独」を誤魔化す為の故意に身をゆだねてきて、それが我慢ならないことに気づき、そんな自分を、「あなた」ともども一秒でも早く脱却したくて「I'm in a hurry」−急いでいるのだろう。
真実と向き合うことの大切さは誰もが知りながらなかなかできずにいる。それは取りも直さず怖いことだからでもあるからだろう。だがその恐怖に負けて、避けてばかりいては不可能を知りつつ他人ばかりでなく自分自身に対する偽りまで続けることになる。今一度、真実に向き合う怖さよりも、それを避けることで抜け出せない自分自身への偽りの怖さの方が大きいことをこの曲から学びたいものである。ダンエモンにそれができていると言い切る自信はまだまだないのだが。
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