I Miss You

作詞 麻生圭子 作曲 渡辺博也 編曲 渡辺博也
解説 椎名恵さんファーストアルバム『MISS YOU』の5曲目に収録されている。アルバムのタイトルはこの曲にちなんでいると見て間違いないだろう。また15thアルバム『S』
の4曲目にも収録。歌謡曲によく用いられる「I Miss You」=「あなたを失う」がタイトルにあるように別れと、別れた相手を惜しむ曲である。
 歌詞から類推するに、主人公は幾度かの別れを繰り返している様である。冒頭の「まだ一人 それとも また一人になった」の歌詞からは一回一回が長続きしていないようにも取れる。
 但し、この歌で思いを馳せている「あなた」は特定の個人で、「恥かしい恋だった 純粋だった」という歌詞からどうも初恋か、それに近いぐらい青さの漂う年代の恋が対象の様である。
 その上でダンエモンが注目したいのは「今逢いたい あの頃は帰らない そうよ 判っているから」の歌詞である。過去を取り戻せない、隔てた時がもたらした変化の如何ともし難い事を知った上で、「逢いたい」のは今の自分に「逢いたい」意義があるからだろう。
 「あの頃」の自分とは違う「今」の自分を「あなた」に逢わせたい意義が激しく気になるところだが、「Miss You 一人で生きていける Miss You かわいくない性格ね」から、主人公が自分から意地を張って別れた様で、「あの頃は帰らない」という意味も多重なのだろう。
 結局主人公は「踵を返して 日暮れに紛れ込む」様に姿を消すしかないようで、冷たい見方をすれば返らぬ繰言の歌の様だが、それでも湧き上がるかつての恋人への想い、「あの頃」「今」の比較……過去を引きずる事が望ましくない事は多いが、過去があってこその現在の自分があることが無視できない事を教えられる一曲である。

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