I need you

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 西平彰
解説 大黒摩季さんのファーストバラードアルバム『weep maki ohgro The Best Ballads Collection』の第6曲目に収録。ラブソングの定番とも言える「I ○○○○ you」の三つの一つ「I need you」 (勿論後の二つは「love」と「want」)がタイトルとなっているところに摩季ソングで言えば「LOVIN' YOU」が、洋楽ではThe Beatlesの「Michel」が彷彿とさせられる。
 が、曲調は甘ったるさや力強さより、どこか若き日の郷愁に帰ったような雰囲気があり、摩季ソングでは「夢の続き」が思い起こされる。

 冒頭の切り出しである「ねえ 僕ら もしも 出会いが もう少し早かったら・・・ 今 どうしてただろう 結ばれて 幸せに暮らしてるかな」から背景を見るに、主人公である「僕」と想い人である「君」は若過ぎた出会いを実らせる事の出来ていない故の過去と現在への追想が随所に見られ、執拗に繰り返される「I need you」はタイトルと同じである事を考慮しても女々しくすら見える。
 が、ダンエモンは「君となら行けるんだ 閉ざされた未来を信じてくれる 眩しい光りを 失えない僕は」「君じゃなきゃだめなんだ 本当の愛を教えてくれる 美しいその心 失えない僕は」の歌詞に単純の愛欲や恋愛願望を超越した一個人への熱く強い想いに裏打ちされているから好きだ。
 殊に「失えない」としている所がいい。打算も見栄も世間体も関係なく、自然な心で持ち合わせる、如何なる力を持ってしても「失えない」愛は事の是非を越えて大きな物だと思うから。

 心境的背景や、経過的背景に比して、主人公の現生活的背景が見えにくい歌詞が続くのだが、「そう 僕は 時を 選べない S.O.S待ちのShip's Boat 「いつか」を願いながら 寄せては返す波のように 沖へといざなうだけ・・・」の歌詞に目を転じれば、主人公は社会的に役割への束縛から進むに進めない立場にあるようだ。
 だが「知ればジェラシー 知らなきゃ不安 掻き乱れ いっそ君のすべて 奪い去りたい」の歌詞を見るに、「僕」が進むに進めないのには「君」の心境や状況に未知な何かがあるからだろうと推察される。故に「いっそ君のすべて 奪い去りたい」の気持ちには知る事にも妙に納得が行く。
 道場主の過去の恋にも未だに何故あんな事になったのだろう?と思わずにはいられない謎な部分が少なくない。今更謎が解けたところで恋も戻らず、相手達が既に結婚し、子供も産んでいるという既成事実は消えないが、願わくば未来の恋の為にも知らない事の為に納得の行かない気持ちを引き摺りつづけるのは御免を蒙るから、自分にとって何が「need」なのかを常に認識し、主張すべきときを誤まらないようにしたい。
 人・物・時間に限らず、本当に「I need」と思うものの為に。

 

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