IT’S ALL RIGT

作詞 大黒摩季 作曲 大黒摩季 編曲 Yohey

解説 大好きである!!大黒摩季さんの31thシングルで、アルバムでは『すっぴん』の10曲目に収録。TBSの「ひるおび!」並びに朝日放送の「ホップ!ステップ!ジャンプー」のエンディングに使用されていた。

 初めて聴いたのは平成二二(2010)年一月の大人解放クラブで、同年ツアーで行われた大人解放クラブを代表する一曲となり、時には「ら・ら・ら」になり代わってライブのトリを務めたことさえあったのは特筆に値しよう。

 歌詞の内容は、1番では、恐らく主人公よりも年下(あるいは後輩)と思われる「君」に対して、若さゆえの「素直」さ、「やんちゃ」さ、「彼女の前ではカッコつけていたい」姿勢、「私にだけ見せてくれる悩」む姿等を恋人とは違った形で「恋しいお気に入り」として「信じるものを信じ」て頑張るよう励ましている。

 そして2番に入るや、「バブル」の時代に「煌め」いていた自分が過去の栄光に「幻」を見ていることを「“ぬるい”」と振り返り、「君」との「出会」いを通じて、新たな出発を志そうとしている。
 殊に、「幻 見つめて 引き算ばかり」している自らを批判しつつも、「今は過去の続き」として捉え、「重い扉を開けて 未来へ漕ぎ出そう」と宣言している。

 圧巻なのは「いつかきっと報われるからって じっと耐えてきたけど 自分を殺して愛を置き去りにして 何の意味があるのだろう」の歌詞である。ライブでもめっちゃ拳に力が入る所である。
 我慢の連続が人生ではあるが、我慢だけの人生など誰もが御免蒙るだろう。1番から2番への歌詞の流れが見事なまでに集約されている様が秀逸である。

 実際、初めてこの歌を聴いた時、「君が信じるものを信じればいい」「社会が違っているだけ 君は間違ってないわ」の歌詞に対して、本気でそう思っていた(というより思い上がっていた)年頃が懐かしくもあり、気恥ずかしくもあったが、何が正しいかを徹頭徹尾考え抜き、例えどのような目に遭おうと正しいと思うものに対して正しいと言い切れるように在りたいと思いながらそう在れない自分………それこそ「“ぬるい”」自分に対して、このように言ってくれる人がいればどれほど幸せであろうかと思われてならない。
 何せ、年上の女性に甘え、励まされることを至上の喜びとする道場主に取って、この曲の「君」は誠に羨ましい存在で…………ぎぃぃぃぃいいいいやああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!(←道場主から筆舌に尽くし難い暴行を受けているらしい)

 あー痛ててててて…ともあれ、「IT’S ALL RIGHT」と言い切れる人生とは生半可なことで掴めるものではない。実績と、それを破壊して、再生して初めて為せるものであることも多い。
 ダンエモン自身破壊は決して望まぬのだが、数々の破壊(または喪失)を余儀なくされてきた故に余計に感じ入るものがある。これは「太陽の国へ行こうよすぐに〜空飛ぶ夢に乗って〜」「Just Start Again」「START LINE」等の名曲にも共通していると言えよう。

 この曲の主人公も、「君」も、ダンエモンも、個々の力は決して強いものではないだろう。しかしながら「今は過去の続き」から成る積み重ねと、「小さな力でも集めれば明日は変わる」という信念が「THAT’S ALL RIGHT」な、「FEEL ALL RIGHT」な人生を為す道なのだろう。

 いつの日か、ライブでそうしたように、大空に向けてシュートサインを挙げ、「IT’S ALL RIGHT」と叫びたいものである。


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平成二三(2011)年三月八日 最終更新